国頭と与論の絆、自作曲に思い込め ヤンバラー宮城さん、村復帰式典で歌う


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祖国復帰50周年記念式典でテーマソング「かがり火」を演奏する国頭村観光大使のヤンバラー宮城さん=4月28日、国頭村辺戸岬(国頭村役場提供)

 【国頭】国頭村辺戸岬で4月28日に開催された「祖国復帰50周年記念式典」(国頭村実行委員会主催)ステージで、特別な思いを持って参加した国頭村出身ミュージシャンがいた。国頭村観光大使として活動するヤンバラー宮城さんは、自身が作詞作曲したテーマソング「かがり火」を初めて披露した。ふるさとの国頭村と鹿児島県与論町の永久の友好を願い、架け橋となるように思いを込めた歌詞を情感たっぷりに歌い上げた。参加者らはそれぞれの思いを重ね合わせて静かに聞き入り、演奏が終わると会場から大きな拍手が送られた。

 ヤンバラー宮城さんは、2016年4月に国頭村観光大使に就任、今年で6年目を迎える。現在、全国各地でライブ活動を続けながら、帰省の際に県内でもライブ活動を続けている。

 そんな中、昨年12月に実行委員会から曲の提供依頼を受けた。過去の歴史に思いをはせながら曲作りに取りかかり、曲や歌詞の修正を繰り返し、無事に完成して初めて人前でのお披露目となった。

 当日は、自身の出身地・同村辺土名区の拝所で曲の報告を兼ね、無事大役が務まるように祈願した。暑い中で行われた式典だったが、宮城さんは辺戸岬の青い空と辺戸安須森を正面に見ながら、そこから吹く風を浴びながら気持ちよく歌った。曲は式典に参加した人々から好評で、復帰運動をしていた世代の人々から「涙出たよ!」との声も掛けられ、何よりもうれしかったという。

 歌詞には次のような一節がある。「昔話になる前に 色褪せてしまう前に いつかの産声の為に かがり火を明日に灯す流れて流れて 海を越えて時を越えてこの声がこの想いが どこまでも聞こえるように」(「かがり火」より一部抜粋)。

 宮城さんは「戦争はもちろん、復帰の頃も生まれていなかった私だが、その当時を経験している先輩方から直接話を聞ける世代だ。50年後、100年後にはその話すら聞けない世代になっていく」と将来を見据える。その上で「祖国復帰運動を経て、国境線から県境に変えてくれた先輩方への感謝と、そしてこの曲が未来の世代への“かがり火”になるようにとの思いで楽曲制作させていただいた」と語った。
 (新城高仁通信員)