産地が分かるウミガメの剥製は学術的に価値 保全に役立つ可能性も 岡山理科大・亀崎直樹教授


社会
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亀崎直樹 岡山理科大学教授

 学術的には、1970年代にフィリピンのセブ島で捕獲された標本と産地が判明していることが非常に重要だ。標本自体は市中に出回っているが、産地が分からないと学術的には価値がない。漢那用哲さんが当時の税関書類や関係者の証言で産地を特定してくれたことで学術的価値が生じるようになった。これだけ大量に状態も良い形で残っているのは奇跡的で、世界で唯一かもしれない。

 今回の標本の大半を占めるのはアオウミガメだ。近年、沖縄や九州、紀伊半島で確認されるアオウミガメの甲長は、40センチ台と60~70センチ台で、その中間のサイズの個体はあまり見つからず「二峰(にほう)性」があるとの仮説が出ていた。50センチを超えると、沖合で移動しているのかもしれない。

 今回漢那さんが保有していた標本を見ると、フィリピンでも同様の傾向があり、世界的にも同じかもしれないといった仮説が浮かび上がってきた。あまり分かってないアオウミガメの生態を把握する上で貴重な標本となり、将来的な保全に役立つかもしれない。