沿道の見苦しい雑草が少なくなるー。県は2021年度から本島の県管理道路の約22%(約190キロメートル)で、全国で初めて雑草の刈り取り業務の発注方式を受注業者の裁量を大きくする方式に変えた。その結果、従来は春先や夏場に最大2メートル程度伸びることがあった沿道の雑草が、通年で20~40センチ程度に抑えられ、良好な景観を維持することができた。経費は従来と変わらないという。
県道路管理課はコストを変えずに住民サービスを向上させられるとして、22年度から新たな発注方式を導入する県道の割合を、本島内の50%(約400キロメートル)に拡充する。23年度からは先島地方も含む全ての県道で実施する予定だ。国や市町村にも導入を勧め、25年度以降には県内の全道路で「雑草ゼロ」を目指す。
県によると、従来は草刈りを年2回程度実施することや工種ごとに検査確認が求められる「仕様規定方式」の下、雑草が最も伸びる夏季(6~8月)と冬季(12~1月)に除草していた。草が伸びやすい夏季の刈り取り後は1カ月で再び1メートルほどまで伸びることもあり、住民から「見苦しい」などと苦情が県に多く寄せられていた。
新たに導入したのは、住宅地では「40センチ程度まで伸びたら刈り取る」などの条件を付すが、刈り取り回数や手法は細かく定めず、業者の裁量を大きくした「性能規定方式」だ。除草剤の散布もより柔軟化した。刈り取り回数は増えるが、従来より一回当たりの雑草の処理に掛かるコストは減り、時間当たりの作業面積も向上して効率化につながった。
国内唯一の亜熱帯性気候の沖縄では、年中通して温暖な気候が続くため、全国水準の3倍の牧草生産力を誇る。さらに、本土復帰後の集中的なインフラ投資を背景として、道路の総延長に対する植樹帯設置の割合「道路緑化率」は全国一位の48・8%(全国平均9・7%)だ。こうした事情から県民や観光客から雑草の繁茂に対しての苦情が多く、行政も対応に追われていた。県道路管理課の担当者は「性能規定型方式の一部導入で、県民からの苦情も減った。今後、業者の負担や経費が増えないかを注視しつつ、県民にも観光客にもアピールして、『沿道に草が生い茂る沖縄』のイメージを変えたい」と話した。
(梅田正覚)