伊波、古謝氏、前哨戦本格化へ 参院選公示まで1カ月 沖縄選挙区


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(左)伊波洋一氏 (中央)古謝玄太氏 (右)金城竜郎氏

 6月22日公示、7月10日投開票が有力視される参院選。想定される公示日まで、22日で残り1カ月となった。沖縄選挙区は、名護市辺野古の新基地建設阻止を掲げる「オール沖縄」勢が支援する現職の伊波洋一氏(70)=無所属=と、政権与党が擁立する元総務官僚で新人の古謝玄太氏(38)=自民公認=による、事実上の一騎打ちの構図となりそうだ。

 9月の県知事選を占う選挙とも位置付けられている参院選。各市長選など選挙戦で劣勢が続くオール沖縄が巻き返しを図れるか、自公が今年序盤の市長選4連勝の勢いを維持するか―。沖縄の日本復帰50年の節目となる「復帰の日」も過ぎ両陣営の前哨戦が本格化する。

 2期目を目指す伊波氏は、玉城デニー知事のほか、国政野党の立民、共産、社民や社大、にぬふぁぶしが支援する。選挙組織は共同代表制を取り、県選出野党国会議員や昨年の衆院選候補者が就いた。県議2期、宜野湾市長2期を含めた政治経験や、基地問題に関して政府を厳しく追及してきたことなどの実績をアピールする。知事選への出馬が確実視される玉城デニー知事との露出を増やし、無党派層への浸透も狙う。

 ただ支援組織との調整などで時間を要し、「体制づくりに遅れがある」(陣営関係者)との声も漏れる。基地問題の「論客」として知られる一方で、コロナ禍を受けて経済活動や市民生活の再建を重視する世論もあり、「基地問題偏重のイメージ」(オール沖縄関係者)からの脱却も課題となりそうだ。

 新人の古謝氏は、官僚経験後に地元で知事や国会議員に転身するという、沖縄政界ではあまり見られなかったパターンでの出馬となる。総務官僚として培った経験や中央との太いパイプなどへの期待から、自民県連や経済界などからの評価も高い。14日に来県した岸田文雄自民党総裁(首相)と経済団体などとの会合に同席するなど、政権与党の全面支援を受ける。38歳という若さも武器に、刷新ムードの演出も図る。

 知名度の低さが課題となっており、3月下旬ごろから多くの離島に足を運ぶなど、浸透に躍起となる。官僚経験者の転身という経歴ゆえに、県出身ながら「落下傘」候補とのイメージが強いとの声もあり「落下傘ではなく『県産』だということを強く打ち出す」(自民県連幹部)ための戦略も問われそうだ。

 このほか沖縄選挙区には幸福実現党沖縄統括支部代表の金城竜郎氏(58)が出馬を表明している。

 投票率も注目される。2019年の前回参院選では、補選を除いた県内の全県選挙で初めて50%を下回った。

 今回はコロナ禍に加え、多くの市町村で首長・議会議員選挙がある「統一地方選」も近いため、地域での活動の中核となる地方議会議員らが参院選に十分に注力できないとみられており、さらなる投票率低下への懸念が広がる。選挙結果も左右しかねないだけに、各陣営の取り組みが注目される。

(大嶺雅俊)