
【東京】沖縄科学技術大学院大学(恩納村、OIST)のピーター・グルース学長は26日、東京都内で会見し、民間投資会社と連携し、新たなファンドを設立すると発表した。すでに1社への投資が内定しており、総額50億円規模のファンド(基金)組成を進める。グルース学長は「沖縄の所得水準を上げるための雇用を生み出す必要がある」とし、“OIST発ベンチャー”による県経済の活性化への期待を寄せた。
ファンド設立で連携するのは、沖縄や京都に拠点がある投資会社「ライフタイムベンチャーズ」(本社・横浜市)。
会見に同席した同社代表パートナーの木村亮介氏は「型破りな創業者に投資したい。創業者の才能をつくり出し、エコシステム(循環型の収益構造)ビルダーとしての役割も果たしていきたい」と豊富を述べた。
OISTは、世界有数の学術出版社シュプリンガー・ネイチャーがまとめた、良質な論文の発表割合が高い研究機関の19年版で世界第9位になるなど、基礎研究分野で成果を上げている。木村氏は、こうしたOISTの学術機関としての優位性に着目し、社会の問題解決が期待できる「ディープテック(眠れる技術)」と呼ばれる技術への投資を想定しているという。
グルース学長は「OISTが知の拠点としての役割を担い、世界トップレベルの研究と積極的な投資活動が組み合わさることで、イノベーション・エコシステムを生み出す沖縄の真の力が発揮される」と力を込めた。
(安里洋輔)