ウミガメ保護、祖父の背中に学ぶ 日々海岸へ「おじいちゃんすごい」産卵場所の安全確保


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【国頭】沖縄県国頭村桃原の海岸で14日、長年ウミガメの保護・調査を続けている日本ウミガメ協議会会員で自然公園指導員の嘉陽宗幸さん(68)=村桃原=が、アカウミガメの産卵を確認した。桃原の海岸は貴重なウミガメの産卵場所で、度々産卵が確認されている。嘉陽さんの孫・石原琉さん(国頭中3年)と琉花さん(辺土名小3年)も保護作業を手伝った。ウミガメのため日々活動する祖父の姿に「活動を身近に見て大変な作業だと思う。実際に掘ってみたら以外ときつかった。おじいちゃんはこれをいつもの日課にしていてすごいと思う」などと感心した様子で話した。

ウミガメ調査保護中の日本ウミガメ協議会会員、自然公園指導員の嘉陽宗幸さん(手前左)と卵を取り出す作業をする孫の石原琉さん、記録を残す嘉陽さんの娘・ゆきのさん、作業を見守る孫の琉花さん=14日、国頭村桃原

 同日午前5時半ごろ、嘉陽さんが調査中に見つけた産卵場所は、満潮時の波打ち際から約3メートルの地点。台風時や波の荒い日には、卵が波に流されることが危惧されるため対策が必要と判断した。産卵場所と分かりやすい目印をして、ほかの場所の調査に向かうため、いったんこの場を離れた。

 午前8時ごろに現場に戻って産卵場所から17個の卵を取り出し、卵が流されないよう、安全な陸側に約20メートル移動。安全な深さに掘り下げて卵を埋め戻した。通常は、1回の産卵につき約100個前後産卵するが、17個と少ないのは長年の調査で初めてで、とても珍しいケース。ふ化、海に帰るまで調査を続けるという。

 娘の石原ゆきのさん(36)も同行し、時折雨が降る中、家族4人で保護に力を注いだ。孫の琉さんは、死んだウミガメがごみを誤って飲み込み、胃袋の中にパンパンになるほどのごみが入っていたというニュースに衝撃を受けたという。「何か僕にできることはないか?」と考え、まずは身近なことから道端に落ちているごみを拾うようにしているそうだ。

保護対策を施した産卵巣

 作業が終わり、「ジージーの活動をどう思う」とゆきのさんが聞くと、琉さんは「おじいちゃんは毎日朝早くから海に行く。保護活動を身近に見て大変な作業だと思う」と話した。琉さんは祖父の活動を目の当たりにしながら、日々学んでいる。

 嘉陽さんは「9月ごろまで産卵が続く、長く続くコロナ禍により村内海岸でキャンプや釣りをするなど行楽客が増えている。夏場のキャンプなど、マナーを守って自然豊かなやんばるを堪能してほしい」と話した。

(新城高仁通信員)