看板や監視カメラ破壊…「そこまでして捨てるのか」 目立つ産廃の不法投棄 宮古島


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不法投棄された廃棄物=宮古島市内(同市提供)

 【宮古島】「不法投棄をゼロにする特効薬はない」。宮古島市の担当者はため息をつく。県の2014~20年度報告書によると、宮古保健所管内で確認されている廃棄物はほとんどが産業廃棄物だ。宮古島市環境衛生課の担当者は「廃タイヤがほとんど。あとは建設混合廃棄物もある」と説明する。

 20年度、宮古管内の不法投棄は10件885トンで、一般廃棄物32トンに対して、産業廃棄物は853トンに上っている。市担当者は「大型車の廃タイヤは宮古島で処理できず、本島に運ばなければならない。そのため処理費用が余分に掛かる。業者がその費用を浮かすために不法投棄している」と指摘する。

 人目につきにくい場所、ごみが多い場所を狙って捨てていく。市もただ手をこまねいているわけではない。テレビCMを流したり、保健所と連携し、不法投棄が多い場所に看板や監視カメラを設置したりしてきた。

 それでも不法投棄はなくならない。「ひどい例だと、看板や監視カメラが壊されていたこともある。そこまでして捨てるのかと信じられない思いだ」と憤る。いたちごっこが続くが「(廃棄物の不法投棄は)重大な犯罪行為だと地道に啓発していくしかない」。

 離島という地理的状況は理由にならない。「廃棄費用にしても、業者はその分を上乗せして客から取っているはずだ。モラルの問題。住民の目が光っていると自覚させるしかない」と話した。
 (佐野真慈)


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