糸満ハーレー漕いで46年、ベテランが語る歴史と魅力 与那嶺さんが講話


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糸満ハーレーについて講話する与那嶺和直さん=20日、糸満市糸満の糸満中学校

 【糸満】糸満中学校OBで糸満ハーレー行事委員会の与那嶺和直参与(61)が20日、同校2・3年生に糸満ハーレーについて講話した。ハーレーは毎年旧暦5月4日(ユッカヌヒー)に実施されるが、新型コロナウイルスの感染拡大で直近3年間は御願行事のみ継続している。

 ハーレーは大漁祈願と航海安全を祈る行事で、「御願に始まり御願に終わる」と与那嶺さんは語る。ユッカヌヒーの朝5時ごろ、山巓毛(さんてぃんもう)で鳴り響くハーレー鉦(がね)が行事の始まりを告げると、梅雨が明けるともいわれる。

 糸満漁港では字糸満を西村・中村・新島の3地区に分け、御願バーレーや転覆させた舟を「ビルマ返し」と呼ばれる方法で元に戻して漕ぐクンヌカセー、県内最長の2150メートルを漕ぐアガイスーブなどで競う。

 与那嶺さんは中学3年で漕ぎ手に選ばれてから46年間、一番ウェーク(先頭の漕ぎ手)やトゥムヌイ(舵取り)を任されてきた。行事委の上原義隆副委員長の鳴らす鉦(かね)に合わせてハーレーの歌を披露し、後輩たちに「何十年も続けるのはきついけど、続けてきたことが自分の誇り。中学生バーレーや青年バーレーにぜひ挑戦してみてほしい」と呼び掛けた。

 3年の屋良綺花さん(14)は「中学生バーレーに参加したことがあるが、ハーレーの歴史は初めて知った。すごいことに参加していたと知り驚いた」と話した。
 (比嘉璃子)

与那嶺和直さんの話を熱心に聞く生徒ら
鉦を鳴らす糸満ハーレー行事委員会副委員長の上原義隆さん