伝統工法「三和土」で赤土流出対策 青森の高校生と辺土名高、北農生が実践


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畑から採取した土と消石灰などを混ぜ合わせ「三和土」を作成する高校生ら=5月28日、東村(イオン環境財団提供)

 【東】赤土流出対策に取り組む青森県の名久井農業高校の生徒が来県し5月28、29の両日、辺土名高校と北部農林高校の生徒らと交流した。名久井農業高は土間などに利用する三和土(たたき)を使った赤土流出対策を研究しており、本島北部に多い赤土「国頭マージ」を使った三和土の活用を、東村の畑で実践した。

 高校生のエコ活動を顕彰する「イオン エコワングランプリ」の特別交流授業。三和土は土と消石灰、にがりを水でこねることで土壌を固化させる日本の伝統工法。農地に導入することで土壌流出を抑制する。名久井農業高はこの研究で2020年度、同コンテストの環境大臣賞を受賞した。

 今回は、赤土流出で漁業などに被害が出る東村で、畑から土を採取して三和土を作成し、畑の境界に設置した。名久井農業高3年の佐々木昌虎さん(17)は「三和土を通ると水の濁りが軽減することなどが確認できた。三和土に植物を植えるなど他の技術と併せることで流出の抑制が期待できる」と語った。

 設置した三和土は今後、辺土名高の生徒が効果などを観察する。同校2年の吉本瀧侍さん(16)は「三和土が畑や周辺環境に与える影響を調べたい」と話した。

 両日は東村海域でモズク養殖を営む桐原永夫さん(45)らも高校生の取り組みを視察した。昨年は赤土流出のためモズクが全滅したという桐原さんは「三和土の活用は、赤土流出の防止につながるのではないか」と期待した。
 (岩切美穂)