新型コロナウイルスの影響で2020年2月から県内各港への入港が止まっていた国内クルーズ船の受け入れが、6月末に再開する見通しであることが2日、分かった。日本クルーズ客船(大阪)が運航する「ぱしふぃっくびいなす」が29日に宮古島市の平良港に、30日に本部町の本部港に寄港する予定だ。
ぱしふぃっくびいなすは神戸港発着で、沖縄や奄美を巡る。2月に予約受け付けを開始し、現在約190人が予約している。同社によると、感染防止対策の観点から、乗客は定員620人の約半数の310人を上限とする。乗客は2回以上の新型コロナワクチンの接種が求められるほか、出航前の神戸港ターミナルでPCR検査を実施する。クルーズ内でもパーテーションを配置し、座席の間隔を空けるなどの工夫をする。寄港先でも、飲食などは最大限控えるという。
受け入れについて、港湾、医療、搬送、観光の関係機関で構成する県クルーズ船受入協議会で、当面の受け入れ対応について取りまとめた。今後、各地域の協議会で受け入れ対応を最終的に決定することで、国内船の寄港が可能となる。
県の港湾課によると、7月以降の国内船の入港は、2日時点で予定がない。外国船については、受け入れのための全国的なガイドラインが策定されていないため、現状では受け入れできないという。
約2年5カ月ぶりのクルーズ船受け入れ再開に、観光業界を中心に期待が集まる。沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「ようやく再開するのは明るいニュースだ」と喜び、「まずは各地の港で実績をつくることが必要だ」と話した。
平良武康本部町長は「安全・安心が一番重要だ。先日、(クルーズ船運航)会社と事前に意見交換をし、町として新型コロナウイルスの感染対策のため、ガイドラインなどの作成を求めた」と話した。その上で「コロナ禍で落ち込んだ観光客を取り戻したいところだった。地元としては喜ばしいことだ」と歓迎した。
玉城デニー知事は2日の会見で「感染拡大防止にしっかり取り組んでもらい、迎える側も万全な形で迎えられるようにしたい」と話した。
(與那覇智早)