県「漁船への接触事故も想定された」、米軍機の燃料タンク投棄で国に抗議 通報体制の不備も指摘


この記事を書いた人 Avatar photo 仲井間 郁江
米軍機からの燃料タンクの投棄に関して、外務省の橋本尚文沖縄担当大使(手前左)と小野功雄沖縄防衛局長(同右)に抗議文を渡し、質問する池田竹州副知事=3日午前11時56分、県庁

 米空母艦載機のFA18E戦闘攻撃機が沖縄近海で燃料タンクを投棄し、東村の海岸に漂着した問題を巡り、池田竹州副知事は3日、県庁に小野功雄沖縄防衛局長、橋本尚文沖縄担当大使を呼び、県を含めた地元自治体への連絡がなかったことなどに対して、抗議文を提出した。

 池田副知事は「投棄は領海内に近接しており、投棄後に領海内に漂流し、漁船等への接触事故も十分に想定された。手続きに準じて、地元自治体に速やかに通報されるべきものと考えている。外来機に対して手続きが周知されているか疑問を持たざるを得ない状況だ」と述べ、外来機の事故があった際の連絡、通報体制を疑問視した。
米側の説明によると、戦闘機は沖縄本島の沖合約28キロメートルに空の外部燃料タンクを投棄した。

 抗議に対して橋本大使は、投棄した場所が領海外のため、1997年3月に日米合同委員会で合意した、連絡通報に関する日米合意には違反していないとの認識を示した。その上で「今回の事案であっても、発生直後から、日本側に積極的に情報提供があってしかるべきと考えている」との認識を示した。

 小野局長は、タンクに燃料が残っていた可能性を問われ「職員が現場で確認したところ、オイル漏れ等の物的な損害は確認されていない」と説明した。タンクの重さや、材質、投棄に至った要因について、両者ともに明確な回答はなかった。

 また、小野局長は米空軍嘉手納基地に外来機が多数飛来していることについて、米側から「日本の防衛、自由で開かれたインド太平洋の確保のため」などと説明があったことを明らかにした。沖縄防衛局として、航空機騒音規制措置の順守、外来機の滞在期間を極力短くするなど、周辺住民に与える影響が極力少なくなるよう配慮を求めたと説明した。