【動画あり】「ニュース女子」控訴審判決、辛さん「踏み込んでくれた」と評価


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記者会見で判決について報告する原告の辛淑玉さん(中央)と佃克彦弁護士(右)、金竜介弁護士=3日、東京都内

 番組「ニュース女子」を巡る名誉毀損訴訟の東京高裁判決を受けて、原告側の辛淑玉さんらが3日、都内で会見した。辛さんは人種差別について東京地裁判決より踏み込んだ点を評価した一方で「ベースにあるのは沖縄差別だ」として、悪質なヘイトを規制する法律の必要性を訴えた。

 「下水にあった汚水を止めるためのフタを手に入れた」。辛さんは問題となった番組内容を「汚水」に例え、控訴審判決の意義を強調。在日韓国人である辛さんの出自や、高江での市民の抗議活動について悪印象を抱かせる内容だった点を踏まえ「二重三重に汚い番組だった」と語気を強めた。

 控訴審判決は、辛さんや弁護団の主張に沿う形で一審判決に複数の変更、加筆があった。辛さんや弁護団が「一審判決よりも踏み込んでくれた」と特に評価したのは、辛さんらが控訴に当たって求めた「人種差別」の認定部分だ。

 番組内で「韓国人はなぜ反対運動に参加する?」「親北派のため、米軍基地の建設を妨害している」との文言がテロップで表示された部分について、控訴審判決では「在日朝鮮人である一審原告の出自に着目した、誹謗(ひぼう)中傷を招きかねない構成になっている」と新たに判示した。

 辛さんは、沖縄の基地反対運動への敵意が番組の「ベースにある」とし「戦争はいやだと声を上げている人を、笑いながらたたいた。本当に醜悪だった」と怒りをにじませた。被告側が問題となった番組の発信を続けていることを「何を反省すればいいのか分からない人たちとの戦いは、カルトとの戦いだ」と批判し、ヘイトスピーチを含む人種差別意識の解消に向けた法整備の必要性を訴えた。

(安里洋輔)