「豊かな未来へ行動を」向陽高校の全生徒707人で平和宣言 復帰50年に合わせ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【八重瀬】復帰50年の節目に八重瀬町の向陽高校は5月26日、平和で豊かな沖縄の実現に向けて広い視野を持って活動していくことを全校生徒707人で宣言した。生徒有志33人が基礎委員会を立ち上げ、復帰前後の沖縄の歴史や人々の暮らしについて南風原文化センターの展示やドキュメンタリー映像を通して学び、文案を練った。

平和宣言文の草案に当たり、中心となった生徒ら=5月25日、八重瀬町港川の向陽高校

 同校では10年前の復帰40年でも平和宣言を採択した。前回は「沖縄を不条理に苦しめ続ける米軍基地の存在は日本人全員で考えるべきもの」とし、民主主義や平和の希求をうたった。

 一方、今回は戦後27年間続いた米統治が日本との復興・成長の差を残し、子どもの貧困などの課題となっていると指摘。課題解決のため「地元への興味関心・主体性を持って行動することからはじめ、沖縄本島だけではなく離島にも目を向けて」地域の課題に取り組む必要があるとした。

 副委員長の吉良結花(きらゆうか)さん(16)は「基地問題もあるが、子どもの貧困についても知ってもらい、若い世代が社会を変えていくことが必要だと伝えたかった」と話す。委員らの周りでも母子家庭で奨学金を受給している生徒や勉強したくてもできない生徒がいるという。

 委員長の宜保花音さん(17)は「復帰について話すと、米軍基地メインで考えてしまう。これからは経済も自立できるように考えなければならない。(次に宣言文を作る時には)10、20年前の文面で書き切れなかったこと、伝えたかったことを読み取って入れてほしい」と願った。

(比嘉璃子)