伊波、古謝氏、県内奔走 支持拡大へ前哨戦 参院選投開票まで1カ月


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(左)支持者に向けて話す伊波洋一氏=8日、宮古島市、(右)支持者に向けて話す古謝玄太氏=7日、南城市

 参院選の投開票日として有力視される7月10日まで残り1カ月となる中、「オール沖縄」勢が支援する現職の伊波洋一氏(70)=無所属=と、政権与党が擁立する元総務官僚で新人の古謝玄太氏(38)=自民公認、公明推薦=の主要2氏は、本格的な選挙戦を前に活発な動きで前哨戦を展開する。想定される公示日は22日。知事選の行方も占う決戦を前に両氏とも県内各地を奔走する。

 現職の伊波氏は2016年参院選で自民候補に10万票以上の差を付けて圧勝した。ただ、2期目に臨む伊波氏周辺に楽観ムードはない。16年は米軍属女性暴行殺人事件が発生した直後に選挙を迎え、県民世論がオール沖縄の訴えを後押しした。 「あの結果の上にあぐらをかいてはいけない」。伊波氏を支援する県政与党県議は参院選を前にこう戒める。

 伊波氏は県内のほとんどの市町村に支部事務所を設置し態勢整備を進める。国政野党議員として基地問題を中心に政府に相対してきた実績のほか、県議や宜野湾市長も歴任した豊富な政治経験を強調し、支持拡大につなげる方針だ。新人の古謝氏は、総務官僚として培った経験や実行力をアピール。「若さ」を前面に出し、無党派層が多い若年層への浸透など、従来の保守層にとどまらない支持の拡大を狙う。

 自公勢力は昨年の衆院選で、14年のオール沖縄誕生後、全県規模の選挙としては初めてオール沖縄の総得票数を上回った。「オール沖縄の風はもうない」(自民県連関係者)と、陣営は地力が問われる選挙だと位置付ける。

 選挙戦に向け各支部事務所を順次開設し、課題となる知名度不足を補う地方組織の活発化を図る一方で、SNSでの発信も強化し、無党派層の掘り起こしにも力を注ぐ。

 主要争点となる米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設計画については、古謝氏が容認を明言したことで、両氏の立場が明確となった。

 ある伊波陣営幹部は、19年参院選では自民候補が立場を明確にしなかったことを念頭に「議論がかみ合う。やりやすくなった」と歓迎する。陣営は「新基地建設反対の民意はいまだ根強く、全県選挙では伊波氏の支持にもつながる」とみて、世論喚起を強める構えだ。 一方、古謝陣営幹部は新型コロナ禍を受けた経済の再建を求める世論の高まりなどを背景に、辺野古問題への関心は低下していると指摘。「復帰50年を迎え、基地問題で停滞するのではなく、沖縄を前に進めたいという若い世代の声が浸透するはずだ」と見通した。

 (’22参院選取材班)