うるま市の米陸軍貯油施設金武湾第3タンクファームから、人体に有害とされる高濃度の有機フッ素化合物(PFAS)を含む汚染水の流出が発覚してから10日で1年となった。防衛省などは汚染水が流出した消火用貯水槽の撤去を求めているが、見通しは立たない上、汚染水も貯水槽内に残されたままだ。
米側の当初の説明によると、雨が貯水槽に流れ込んだことで中にたまっていた汚染水が外部に流れ出たとみられる。米軍は事故後、雨水が流入した貯水槽上部のマンホールをゴム製マットで覆うなど対策を取った。
汚染水中のPFAS濃度は1リットルにつきPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)の合計で最大8万7千ナノグラムとなり、国の暫定指針値(1リットルにつき50ナノグラム)の1740倍に相当した。濃度調査は事故発生直後の昨年6月末に県、国、米軍で実施したが米軍の同意が得られず、公表は昨年12月末までずれ込んだ。
現場にはいまも貯水槽と内部の汚染水が残されたままだ。沖縄防衛局によると、米側は貯水槽撤去と汚染水処理について「検討中」などと説明しているという。同局は本紙取材に「防衛省としては、米側に速やかな撤去などが行われるよう求めている」と強調した。
梅雨時期を迎えたこともあり、再発への懸念は根強い。県環境部環境保全課の横田恵次郎基地環境対策監は「米軍の説明を信用するしかないが、一度流出しているので不安はある。梅雨で大雨が降り、台風の季節も迎える。早めに適正な方法で処分してほしい」とした。現場に隣接する昆布自治会の與古田敬子会長は「1年たったのに米軍は何もなかったかのような対応だ。いつか大変なことが起こって、『やっぱり起こった』となるんじゃないか」と口にした。
本紙は施設を管理する在沖米陸軍に貯水槽や汚染水の撤去予定を質問したが、11日までに回答はなかった。(塚崎昇平、古川峻、安里周悟)