【記者解説】伊波氏の政策「経済再生」柱に位置づけ、無党派層の獲得狙う 辺野古反対は堅持 参院選沖縄選挙区


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参院選に向け、政策を発表する伊波洋一氏(中央)=13日、那覇市のホテルコレクティブ(小川昌宏撮影)

 現職の伊波洋一氏は「オール沖縄」の立場として1期目で前面に打ち出した、名護市辺野古の新基地建設反対の訴えに加え、今回は世論の関心が高い新型コロナウイルスで打撃を受ける経済再生を政策の柱に位置付けた。伊波氏は同列の扱いだと説明するが、「基地だけではないとのアピール」(陣営関係者)を有権者に訴える狙いがうかがえる。

 4月の出馬表明時にも経済再生に取り組む姿勢を前面にアピールした伊波氏。政策集では、経済の建て直しを辺野古阻止を含む基地問題よりも先に載せた。

 伊波氏は経済再生を打ち出すことで、無党派層の獲得につなげる狙いがある。ただこれまで基地問題への取り組みについてのアピールが強かっただけに、経済分野での実績が県民に浸透しているとは言いがたい。

 今回掲げた経済対策の実現性を高めるため、これまでの実績をどう有権者に伝えることができるかが問われる。

 一方、対抗馬となる自民新人の古謝玄太氏が辺野古移設容認を明確にしたことで、辺野古を巡る対立構図も際立つ選挙戦となる。

 伊波氏は「二度と沖縄を戦場にしない」という訴えも最重要政策に掲げた。ウクライナ情勢を受け、「抑止力」強化を求める世論の高まりがある。一方で、過重な基地負担にあえぐ中、反戦平和を願う人々もいる。その受け皿になり得るかも焦点だ。
 (比嘉璃子)