在日ネパール人に広がる献血の輪 沖縄で協会立ち上げ、SNSで全国の850人が協力


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結成1周年記念事業を終え、参加者と記念撮影するネパール献血者協会のメンバー=14日、那覇市の若狭公民館

 県内在住のネパール人留学生サハ・ラフル・クマルさん(24)が「ネパール献血者協会」を立ち上げ、在日ネパール人らに献血を呼び掛けている。14日で結成から1周年を迎え、献血協力者は850人を超えた。沖縄で始めた活動はSNSを通じて日本各地に広がっている。

 2021年1月、誕生日を間近に控えたクマルさんは「沖縄で何か新しい経験を」と考え、献血を思い立った。那覇市のくもじ献血ルームを訪ねたところ、スタッフは外国人の訪問に驚いていたという。ネパール人の献血希望者は初めてだと知り、クマルさんも驚いた。

 献血を済ませた後、フェイスブックとインスタグラムに写真を投稿すると「私も献血したい」「どこで、どうやったらできるの?」などのコメントが殺到した。希望者が多いのなら、ネパール人の連携で献血を通した助け合いができると考え、ネパール献血者協会を立ち上げた。

サハ・ラフル・クマルさん

 その後、献血希望者を献血ルームに案内して手続きを補助するほか、啓発イベントも開催、献血者の輪を広げた。東京や大阪、仙台などのイベントにも参加し、活動はどんどん広がった。

 結成1周年を迎えた14日は世界献血デー。記念事業として那覇市の若狭公民館でイベントを開き、寸劇などで「献血は、いつでも、どこでも、誰でもできる」「ひと家族にひとりの献血者」と訴えた。「重大発表」として、クマルさんが3年以内に47都道府県を訪問し、献血を呼び掛けることも報告した。

 外国人が献血する際の課題として、英語の問診票がないことも報告された。イベントに参加していた県赤十字血液センターの百名伸之所長は、英語対応について「先行的に取り組み、沖縄から発信できるように考えたい」と前向きに受け止めた。

 クマルさんは「献血は肌の色も宗教もカーストも関係ない。お金がなくてもできる」と、ボーダーレスな助け合いが広がることを期待した。
 (稲福政俊)