参院選沖縄選挙区、女性の立候補は2割以下 過去20回、出馬しやすい環境整備が急務


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 選挙期間中は掲示場に候補者のポスターが貼り出されるが、女性の顔は少ない。参院選沖縄選挙区には沖縄で初めて参院選が実施された1970年から前回2019年まで補選を含めて20回の選挙があり、延べ58人が出馬した。そのうち女性の立候補者は9人にとどまる。沖縄選挙区から輩出された参院議員は計10人だが、女性は2人だけだ。女性の割合は、立候補者、当選者いずれも2割以下。今回の参院選沖縄選挙区の立候補予定者も男性4人に対し、女性1人となっている。

 本紙が21年に女性の政界進出を阻む壁について取材した企画「『女性力』の現実」では、県内女性議員から「長時間の議員活動と子育ての両立が難しい」といった声や「選挙活動中や議会で偏見やハラスメントがある」などの指摘が上がった。県内では「男尊女卑」の考えが根強く、出馬時に家族の理解が得られないなど、いくつもの壁が立ちはだかっていることが分かった。

 列国議会同盟(IPU)の調べによると、日本の国会に占める女性議員の割合は参議院23.1%、衆議院9.7%(いずれも2021年10月時点)で、190カ国中162位と世界に遅れを取っている。各国では議席や政党候補者の一定数を女性に割り当てるクオータ制を導入し、女性議員を多数輩出してきた。

 この状況を受け、国は国政・地方選挙で候補者が男女同数になることなどを目指し、18年に政治分野における男女共同参画の推進に関する法律を施行。各党に対し、男女候補者の数値目標を示すよう努力することなどを定めたが、一部政党にしか浸透していない。

 現時点で、今参院選で女性の立候補予定者の割合は立民が選挙区と比例代表を合わせて約5割、自民が比例代表で3割だった。

 各政党は、女性の立候補予定者向けにオンライン育成講座や貸付制度、ポスター・ビラの作成や配布支援などに取り組んでいる。政策決定の場に多様な意見が反映されるためにも、女性も出馬しやすい環境の整備が求められている。
 (’22参院選取材班)