【詳報】コロナ・経済対策、沖縄の課題、辺野古移設への考えは?参院選沖縄選挙区公開討論会


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立候補予定者公開討論会の冒頭、健闘を誓い合いグータッチを交わす伊波洋一氏(左)と古謝玄太氏=16日、那覇市泉崎の琉球新報ホール(小川昌宏撮影)

 22日公示、7月10日投開票の参院選を前に、琉球新報社は16日、那覇市の琉球新報ホールで立候補予定者公開討論会を開催した。選挙戦で事実上の一騎打ちが見込まれる無所属現職の伊波洋一氏(70)と、自民新人の古謝玄太氏(38)=公明推薦=が登壇し、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設計画や経済振興策、新型コロナウイルス対策などで舌戦を繰り広げた。討論を通じて、辺野古移設への立場や経済対策・振興の手法の違いなどが一層鮮明となった。初顔合わせとなった両氏は自身の強みや選挙戦で最も訴えたい主張を交えながら、互いの政治姿勢などを巡って白熱した討論を展開した。
(文中敬称略)(’22参院選取材班)


[コロナ・経済]

消費税は5%へ減税―伊波氏
観光需要回復を促進―古謝氏

 司会 コロナで影響を受けた経済立て直しは。

 古謝 特に沖縄は観光、交通関連産業が大きな影響を受けている。県民割の拡充など国内観光の促進、インバウンドの段階的緩和を図る。旅行需要を取り込む体制を整え、中小企業の資金繰り対策や生活困窮者への支援も取り組む。

 伊波 特に必要なのは観光産業の再生だ。インバウンド受け入れは国間の協議が必要で、2国間協議を促進させたい。観光対策も消費税5%への時限的な減税を通し、全国民的な支援を国として行うべきだと、野党として強く求める。

 司会 物価高騰の対策に関する考えは。

 古謝 ガソリン補助や各業種への省エネ機材の導入支援など、業界に合わせた支援を実施していく必要がある。これを機に国内の生産体制を見直すことも必要で、ICTを活用した国内生産の高付加価値を進め、今後同じ事態が起きても、国内生産で回せるという仕組みを構築すべきだ。

 伊波 今回の物価高騰は、日銀のアベノミクスと連動する低金利化が米国の金利上昇に伴って為替レートを大きく変え、円安にしたことが大きい原因の一つだ。小麦や肥料などさまざまな輸入物価が上がっている。岸田内閣がやはり不十分だ。全国民に行き渡るような経済対策をすべきだ。

 


 

[沖縄の課題]

県民の生活を第一に―伊波氏
沖縄経済の未来描く―古謝氏

 司会 日本復帰50年を迎えた沖縄の課題について、重点的に取り組むべきと考える3項目は。

 伊波 順番ではなく同列として、一つはコロナで疲弊した県経済、県民生活の再生を行うことだ。県民生活を第一に考えたい。2点目は子どもの貧困解消で、子ども政策を大事にしなければいけない。さらには基地のない平和な沖縄を目指すことで、復帰時の屋良建議書にも書かれていたように、米軍統治により基地の島にされているが、その脱却を実現したい。

 古謝 一つ目に、沖縄経済の未来を描く必要がある。独自の文化や特性を生かした新5K(観光、健康、環境、海洋、起業)経済の促進を提唱する。二つ目は、子どもの貧困解消で、状況は多様なので市町村と連携し、貧困が連鎖しないよう支援に取り組む。三つ目は基地の整理縮小とその跡地活用だ。基地負担軽減を図り、未来につながる跡地活用を進める。

 


 

[辺野古移設]

軟弱地盤に建設無理 伊波氏
技術力で工事は可能 古謝氏

 司会 古謝氏は辺野古移設を容認するが、2019年の県民投票の結果はどう受け止めるのか。軟弱地盤の存在で移設の実現可能性に疑問も出ることはどう考えるか。

 古謝 県民投票で賛成より反対が多かった結果はそれが県民の民意だったと認識している。一方で普天間飛行場の危険性除去実現も県民の願いだと認識する。埋め立て予定地の地盤は、有識者の助言を踏まえて設計施工が計画されていると承知している。日本の高い技術力をもってすれば十分に工事は可能であると聞いている。

 司会 伊波氏は従来から辺野古移設に反対してきたが、普天間飛行場の危険性除去はどう考えるか。政府の辺野古埋め立てが進む中で、移設を阻止する具体的な方策は。

 伊波 米国基準からも違法な普天間飛行場の継続は辺野古新基地建設を前提とする。だが辺野古移設はできない。軟弱地盤の技術的問題はクリアされていない。玉城デニー知事が(設計変更申請を)不承認し、大浦湾の建設は止まっている。知事も私も当選して県民の声で辺野古移設を止め、普天間飛行場の閉鎖返還に結び付けたい。

 司会 「台湾有事」を巡る考え方について。

 古謝 ロシアのウクライナ侵略を教訓に、対話だけでは自国の平和を守れないと認識し、対話を続けつつ、日本の防衛力、日米の安全保障、パートナー国との連携を進めて抑止力を持つことが重要だと考える。

 伊波 自民党政権は台湾有事を日本有事にしてもいいというくらいの覚悟で準備している。中国との外交を政府は閉ざしている。戦争は避けなければならないということを、沖縄の声として国政でしっかり訴える。

 


 

<出席者>

伊波洋一氏(70)=無所属現職
 いは・よういち 1952年1月生まれ。宜野湾市出身。琉球大卒。宜野湾市職員、県議を経て、2003年から宜野湾市長を2期途中まで務めた。16年参院選沖縄選挙区で初当選。1期目。

古謝玄太氏(38)=自民新人、公明推薦
 こじゃ・げんた 1983年10月生まれ。那覇市出身。東京大卒。2008年に総務省に入省し、長崎県財政課長や復興庁参事官補佐などを務めた。3月までNTTデータ経営研究所勤務。

司会 与那嶺松一郎(琉球新報編集局政経グループ長)

司会 竹中知華(ラジオ沖縄アナウンサー)