沖縄周辺で増える中国軍の訓練 日米の軍事力での対抗 県民への影響は


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 【東京】沖縄を中心とした南西諸島で日米と中国の間の軍事的な緊張が高まっているとされる。沖縄に近い場所で訓練を繰り返す中国軍に対し、中国を抑え込みたい米軍と一緒になって日本は軍事力で対抗しようとしている。県民にとって日常の基地負担が増し、有事の際にも被害を受ける危険性が高まるばかりだ。

 中国空母「遼寧」は5月、沖縄の南方海上で艦載機の発着艦を300回以上、繰り返した。防衛省が確認した中で最も日本に近い海域での活動だった。

 中国軍は沖縄本島と宮古島の間の航行を繰り返し、日本周辺でロシアと共同で爆撃機や艦艇を航行している。

 一方、米海兵隊は沖縄で中国の抑え込みを念頭に新たな「遠征前方基地作戦(EABO)」の訓練を繰り返す。

 特に2月の演習では海兵隊員約7500人が参加する異例の規模だった。自衛隊と米軍は年に何度も、共同訓練を繰り広げている。

 訓練が激化し、県民の基地負担は増している。6月に入ってからも嘉手納基地に外来機が相次いで飛来し、周辺で100デシベル超の騒音が発生した。

 ロシアによるウクライナ侵攻以降、日本政府は「明日の東アジアかもしれない」(岸田文雄首相)として日米同盟強化にまい進する。防衛費の増額を掲げ「敵基地攻撃能力」保有にも前向きだ。

 防衛省関係者は「双方とも衝突は避けたいと考えている」と語るが、互いに軍事的な挑発や対抗を繰り返せば、意図せず衝突が発生して戦争に発展する危険性が生じる。軍事的な緊張が高まる中、より重要となるのが外交による緊張緩和の取り組みだ。

 新外交イニシアティブ(ND)の猿田佐世代表は「米中どちらの陣営にもくみしない」という姿勢を取る東南アジア諸国連合(ASEAN)の外交に着目する。

 「陣営に組み込まれないよう、したたかな外交を展開している。戦争を避けるためのその意思表示がなければ地域の緊張はさらに高まっていた」と説明する。

 その上で「中国の譲れない一線は台湾の独立であり、米国の台湾への過剰な肩入れが緊張を高めている。日本政府は中国には強く自制を求めるが、米国には何も言わない二重基準をやめ、米中双方に自制を求めるべきだ」と指摘した。
 (明真南斗)