レスリングの明治杯全日本選抜選手権最終日は19日、東京の駒沢体育館で行われ、男子グレコローマンスタイル77キロ級に出場した東京五輪銅メダリストの屋比久翔平(浦添工高―日体大―日体大大学院出、ALSOK)が2019年以来の頂点に立った。屋比久は世界選手権(9月10~18日、セルビア)の代表に決まった。屋比久は初戦の準々決勝、続く準決勝で快勝すると、決勝も6―3で相手を振り切った。
全力を注いで達成した東京五輪での快挙。屋比久翔平は銅メダルを手にしながらも、こう思ったという。「1番になった選手を目の前で見た。やっぱり、自分もこうなりたい」
昨冬の椎間板ヘルニアの手術を無事乗り越え、気持ちを新たにして向かうパリへの道。屋比久は国内最高峰の舞台を再出発の場所に選んだ。
初戦の準々決勝と準決勝は危なげなく快勝。決勝は攻めあぐねる場面も見られたが、終盤の勝負どころで豪快な投げを決めポイントを奪い、優勝を引き寄せた。
「練習と試合では感覚がやっぱり違ったけど、決勝でも自分が地力で上だと思っていた。リードされたとしても、取り返す自信があった」と焦りは一切なかった。「いろんな修羅場をくぐってきた」自負が、沖縄が誇るメダリストを大きく成長させた。
上々の再始動で、9月の世界選手権代表の座も手にした。ここからまた、世界の強豪との戦いが待っている。2024年のオリンピックに照準を合わせ「やるからにはてっぺん。一つ一つのことをこなしていく。そして金が最大の目標です」。力強く、落ち着いた口調に、屋比久が抱く確かな自信を感じさせた。
(普久原裕南首都圏通信員)
【男子グレコローマンスタイル】
▽77キロ級準々決勝
屋比久(ALSOK) Tフォール1分55秒 水口(拓殖大学)
▽同準決勝
屋比久 Tフォール2分29秒 小堀(東洋大学)
▽同決勝
屋比久 6―3 前田(レスターホールディングス)