参院選沖縄選挙区 両選対幹部に聞く 立候補予定者の魅力と課題は


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 7月10日投開票の参院選沖縄選挙区は、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に反対する「オール沖縄」勢が支援する現職の伊波洋一氏(70)=無所属=と元総務官僚の新人、古謝玄太氏(38)=自民公認、公明推薦=による事実上の一騎打ちになる見通しだ。両氏の選対幹部に、取り組みや有権者へ訴えたいことなどを聞いた。(’22参院選取材班)


伊波陣営 新垣邦男氏 確かな実績で観光再生

選挙戦に向け手応えを語る新垣邦男共同代表=那覇市銘苅の事務所

―最も訴えたいことは何か。

 「同列で、コロナ禍からの県経済・県民生活の再生と県民所得の向上、子どもの貧困解消、『基地のない平和な沖縄』の実現だ。特に観光関連産業の再生は重要だ。アジア経済を取り込み、観光の高付加価値化、スタートアップ支援などで1人当たり県民所得の向上を図る」

 「子どもの貧困解消に向けては、子ども支援員や居場所の提供などの充実に加え、親の就労支援や生活保障などを積極的に支援していく。引き続き普天間基地の閉鎖と撤去、辺野古新基地建設反対を訴え、PFAS汚染水問題の解消に取り組むほか、憲法9条を守り、日米地位協定の抜本的な改定を目指す」

―立候補予定者の魅力と課題は。

 「豊かな経験と確かな実績だ。母子家庭で病弱な母を世話しながら、大学時代はアルバイトで学費や生活費を稼いだ。『平和で豊かな沖縄を子どもたちに手渡したい』と願う気持ちが人一倍強い。県議や宜野湾市長、参院議員を約20年務め、参院では外交防衛委員会で基地問題の解決やPFAS汚染水問題の解消、日中外交の改善に取り組んできた」

 「簡単な質問にも丁寧に説明して答えるので、有権者に気難しい印象を与えてしまうことが課題だ。実際は気さくだ。県民の声や思いをくみ取り、政策に練り上げていく能力がある」

―現在の取り組みは。

 「さらなる知名度アップのため、有権者に語りかける場面を増やしている。基礎票の取りこぼしがないよう、支援者同士でも期日前投票を呼びかけてもらう」

―当選ラインは。

 「伊波氏が初当選した2016年の参院選並みで投票率54%、得票数約35万票を目指している」

―若年層、無党派層への支持拡大に向けて。

 「SNSで若手インフルエンサーとのオンライン対談や候補者の人柄が分かるような動画、応援コメントビデオを発信する。知事選を控える玉城デニー知事とのセット戦術を徹底する」


古謝陣営 中川京貴氏 即戦力で経済立て直す

選挙戦に向け手応えを語る中川京貴選対本部長=那覇市久茂地の自民党県連

―最も訴えたいことは何か。

 「今度の参院選に出馬を予定する自民党公認候補としては最も若い38歳という点と、官僚として国の中枢にいた実績と経験もアピールしたい。彼は即戦力になる人物だ。今、県経済はコロナの影響で打撃を受けている。ここから盛り返すのは政治の力が必要だ。彼は今までの経験から、何に優先して取り組むべきかを知っている。この経済危機を日本で一番先に乗りこえて、観光立県を立て直していける人物だと訴えたい」

―立候補予定者の魅力と課題は。

 「沖縄に対して恩返しをしたいとの思いが強い。沖縄がこれからの日本を引っ張っていく時代をつくることができる若きリーダーだ。一方で課題は知名度が低いことだ。実際に『古謝玄太って誰?』と言われる。まずは1人でも多くの県民に本人を見てほしい」

―現在の取り組みは。

 「選挙は最終的に候補者本人の魅力による面も大きい。若い彼が地域を歩けば歩くほど支持は浸透する。逆に現職の予定候補がこれまで以上に支持を集めるかは疑問だ。コロナ禍で集会は開きにくい。今は街中の十字路に出て人となりを見てもらっているところだ」

―当選ラインは。

 「投票率は55%、期日前は15万票、最終得票は35万票を目標としている。現職は前回30万票以上獲得しているので、われわれは最低でも30万以上取らないといけない。近年の参院選で自民擁立候補が26万票以上を獲得したことはない。今回は数万票以上の上乗せを目指す。ハードルは高いが、そのために全市町村に立ち上げた各支部を通して目標を達成する仕組みを作っている」

―若年層、無党派層への支持拡大に向けて。

 「同世代の支持者がグループを作って各種ネット戦術を展開している。20、30代の無党派層の人たちには戦後77年、復帰50周年を迎える中で、これからの沖縄の未来をつくる候補者は誰か。若いリーダーが沖縄を引っ張る原動力になると訴えたい」