23日の沖縄全戦没者追悼式は、3年ぶりに首相が出席して行われた。玉城デニー知事が読み上げた平和宣言は初めて公募によりまとめられ、「辺野古新基地建設の断念」が盛り込まれた。平和宣言読み上げの場面では多くの来場者が手元の資料に目を落とし、一言一言を追いながら聞くなど関心の高さがうかがえた。
会場外から首相のあいさつに抗議の声を上げた女性(77)=那覇市=は「いつも同じ言葉ばかりで聞きたくない。基地を沖縄に押し付けておいて『み霊』がどうのこうのと言って、礎に刻まれた人たちに怒られるよ」と批判した。玉城知事の平和宣言に「辺野古移設断念」の文言が復活したことに「沖縄の思いを伝えるため、もっと強く言ってほしい」と注文を付けた。
戦争で父を亡くした女性(80)=那覇市=は、今年初めて式典に参加した。沖縄市立山内小学校2年の德元穂菜(ほのな)さんによる平和の詩「こわいをしって、へいわがわかった」が「良かった」と感慨深げに語った。「私の時代は大変なことが多かった。子や孫の時代は平和が続くことを願っている」と話した。
県遺族連合会の瑞慶山良祐副会長は「コロナ禍で参加者が制限される年が続いたが、今年は遺族もだいぶ参加できて良かった」と話した。
(知念征尚)