青森のジュース手向け「のど渇いただろう」遺骨のない伯父追悼 埼玉の向山さん


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伯父の名前が刻まれた刻銘版を見詰め、手を合わせる向山富士子さん=23日、糸満市摩文仁

 沖縄戦で亡くなった青森県出身の伯父を追悼しようと、平和の礎を訪れた向山富士子さん(64)=埼玉県。刻銘板に伯父の笹木政五郎さんの名を見つけ「おじさん、青森のジュース持ってきたよ。のどが渇いただろうね」と優しく声を掛け、手を合わせた。

 沖縄戦当時27歳の笹木さんは日本兵として沖縄に配属され、1945年6月20日に首里で戦死したとされている。向山さんは「戦死した日も場所も正確か分からない。遺骨は見つかっていない」と話す。

 笹木さんの妹に当たる向山さんの母は、戦後ずっと兄の遺骨のことを気に掛けていたという。向山さんは高齢の母に代わり、沖縄に何度も足を運び遺骨収集活動にも参加してきた。

 今、戦没者の遺骨が混じる沖縄南部の土砂を名護市辺野古の基地建設に使う計画が進むことに強い憤りを感じている。平和祈念公園で計画の断念を求めてハンガーストライキを行う具志堅隆松さんにも会いに行き「絶対に使ってはいけない」と思いを伝えた。

 向山さんは「二度と戦争を起こさないように頑張ることがおじさんにとってうれしいことなんじゃないかな」と語った。

(赤嶺玲子)