ネットと歴史修正主義 モバイルプリンスの知っとくto得トーク[264]


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23日は「慰霊の日」でした。沖縄では毎年6月になると戦争に関する報道があり、各地で勉強会などが開かれます。一方、沖縄戦や沖縄の歴史に関して、誤った情報がネットで拡散されることが度々起きています【※1】

自分たちの国に都合の悪い歴史や政治問題を事実に基づかない形で書き換えることを「歴史修正主義」と呼び、世界中で問題になっています。

沖縄は歴史修正主義のターゲットとなることが多く、誤情報やフェイクニュースがネット上に飛び交います。

 

※1 沖縄の歴史の誤った情報が、ネット上で拡散されることが度々起きています … ネット上で広がる「沖縄の基地反対派は日当をもらっている」というデマなどをテレビ番組として放送した「ニュース女子(2017年1月放送)」は、BPO(放送倫理・番組向上機構)から「重大な放送倫理違反があった」と判断されました。しかし今なお「日当をもらっている」というデマは定期的に拡散されています。

 

イラスト・小谷茶(コタニティー)

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歴史修正主義はネットと相性が良く、誰もが間違った情報を信じてしまう可能性があります。その代表例が「確証バイアス」【※2】です。

ネットで検索する際、最初から答えありきで検索し、どんどん偏りが発生する現象です。例えば、何となく好きになれないタレントを「(タレント名) 嫌い」と検索し、「こんなに嫌いな人がいるんだ! やっぱり自分は間違っていなかった」と思い込んでしまうことです。

実際は「嫌い」より「好き」が多くても、検索の方法次第で「好き」は出てきません。

ネット検索は万能で正しい答えを教えてくれるような気になりますが、実際は私たちの心の声=見たい情報を見せているということです。

 

※2 確証バイアス … 自分の考えや仮説を検証するときに、自分の考えを肯定したり支持したりする情報ばかりを集め、そうでない情報は無視する傾向のこと。

 

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さらに、個人が好きそうな情報を優先的に表示する「フィルターバブル」、似た考えの人たちとだけ交流し、どんどん意見が過激になる「エコーチェンバー現象」など、歴史修正主義と相性の良い仕組みが複数あります。

こうしたリスクの高いネットの仕組みを理解し、事実に基づいて歴史を学ぶ必要があります。

 

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ スマートフォンアドバイザー、フリーライター。沖縄県サイバー防犯PR大使を務め、スマホやインターネットの活動講座を学校などで実施。本連載をまとめた著書「しくじりから学ぶ13歳からのスマホルール」(旬報社)も発売中。

http://smartphoneokoku.net/