なは女性センター(那覇市銘苅)はこのほど、2021年に開設25周年を迎えた同センターのあゆみや今後について語った座談会の報告書をまとめた。報告書は同センターで配布されているほか、インターネットでも見ることができる。いずれも無料。全28ページ。
座談会は21年10月1日に同センターで開催された。「女性センターの果たしてきた役割、そして、これからを考える」をテーマに、1996年の開設当初から関わってきた高里鈴代さん(強姦救援センター・沖縄「REICO」代表)、宮城晴美さん(沖縄女性史家)、山城紀子さん(ジャーナリスト)が登壇した。
同センターは前身となる「働く婦人の家」の役割を引き継ぐ形で開設された。背景には国連が定めた75年の国際婦人年や76~85年の国連婦人の10年、以後の世界女性会議など機運の高まりがあった。
沖縄でも85年に那覇市でスタートした「うないフェスティバル」や、1990年から始まった行政による県内初の女性史「なは・女のあしあと」の編さん事業など、女性たちが主体となったさまざまな活動が広がりを見せていった。
宮城さんはセンターの設立準備の際に男性から「なぜ男性センターを作らないんだ」と言われたエピソードを紹介。「女性たちは自分たちの発表の場、活動の拠点として女性センターを作る。もし男性センターが必要だったら、男性たちも目標を掲げて自分たちで作ればいい」と答えたと言い「ただ器を作ったのではなく、女性たちの活動がその原点にあったということはとても重要な点だ」と語った。
座談会では、女性が女性に向けて発信すること、女性が不平等について声を上げる大切さなどについて、女性の性暴力事件や介護、「従軍慰安婦」問題などに触れながら再確認し、今後のセンターの役割について意見を交わした。
そのほかトートーメー(位牌)継承に象徴される沖縄ならではの女性の人権問題や、「男性学」、フラワーデモなどを契機に徐々に可視化されるようになってきた、ジェンダーをめぐる現代の課題についての議論も紹介されている。
問い合わせは同センター(電話)098(951)3203。
(嶋岡すみれ)