流麗な鍵盤さばきで観客を魅了 書き下ろし曲で沖縄の情景描く ジェイコブ・コーラーコンサート


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 人気YouTuberでジャズピアニストのジェイコブ・コーラーのジャズピアノ・コンサートが25日、那覇市の琉球新報ホールで開催された。昨年の沖縄初公演の経験を基に、本公演のためにコーラーが書き下ろしたオリジナルソング「Okinawa Samba(オキナワサンバ)」をはじめ、一期一会のアレンジをした約20の楽曲を披露し、会場を沸かせた。

会場の空気を感じ、自由に音を紡いでいくジェイコブ・コーラー=25日、那覇市泉崎の琉球新報社(ジャン松元撮影)

 久石譲の「Summer」、スティービー・ワンダーの「Isn’t She Lovely」でまずは観客の心をつかむ。続く、ルパン三世と名探偵コナンのアニメ・メドレーでは、二つの曲を時にミックスし、流麗な鍵盤さばきで魅了した。「丸の内サディスティック」では、観客も「ザンッ」と響く手拍子で、一緒に盛り上がった。

 本公演のためのオリジナルソング「Okinawa Samba」は、琉球音階を用いた静かなイントロから始まった。いくつもの音を紡ぎ合わせ、スピード感あふれる7拍子や、和やかな3拍子などへと、拍子も変化させ、多彩な沖縄の情景を描き出した。

「へその音」で一体となって盛り上がる出演者と観客

 三線唄者の宜保和也とは、「ハイサイおじさん」や「島唄」を披露した。2部ではギタリストの片山義美も加わり、宜保のオリジナルソング「へその音(お)」や、「ダイナミック琉球」を演奏して盛り上げた。ドラマーの中村亮、ベーシストの高尾英樹とのコラボレーションでは、「Summer time」などで競い合うように音を重ねた。映画「魔女の宅急便」より「海の見える街」では、ジャズ・ワルツアレンジでムーディーに仕上げた。

 ラストはジャズの名曲「クレオパトラの夢」を演奏し、アンコールは「リベルタンゴ」の後、出演者全員による「唐船どーい」でにぎやかに幕を下ろした。

 家族4人で来場した松田恵子さん(65)=読谷村=は「オリジナル曲が素晴らしく、共演者も引き立てる気配りにも感動した」と興奮した様子で話した。

 コーラーは「沖縄のみなさんは、完璧なタイミングの手拍子を打ち、盛り上がってほしいところでテンションを上げてくれる。演奏していて観客とコラボしたような一体感があり、最高だった」と話し、3度目の公演にも意欲を見せた。
 (藤村謙吾)