激戦地に響きわたる平和の三線 「慰霊の日」に世代超え音楽会 糸満


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 【糸満】琉球古典音楽野村流保存会三線教室・金城サチ子研究所、伊良皆功研究所などによる第3回慰霊の日癒やしの音楽会が6月23日、糸満市の沖縄県平和創造の森公園で行われた。慰霊の日に合わせ、沖縄戦の最後の激戦地となった場所で「月桃の花」「ぢゃんな節」などを奏でて戦没者を追悼した。強い日差しの中、児童生徒から88歳までが出演した。

稽古を重ねてきた「月桃の花」などを奏でた児童生徒ら=6月23日、糸満市の県平和創造の森公園(提供)

 オンライン参加も含めて世代や場所を超えて平和を願う歌三線が、青い海を見下ろす緑いっぱいの丘に響き渡った。

 公園の近隣には平和の礎や数々の慰霊塔が点在する。正午の時報を挟み、追悼の「月桃の花」を児童生徒らが奏で、金城さん、伊良皆さん、太田順子さん、リモートで愛知県から渡部敦子さんが「ぢゃんな節」を披露した。絵本の読み聞かせもあり、会場は和やかな雰囲気に包まれた。

 音楽会恒例の飛び入りの舞台には比嘉由照さん(84)=八重瀬町=が駆けつけ、「艦砲ぬ喰(く)ぇーぬくさー」を披露。歌詞を若い世代に説明するなど、思わぬ世代間交流の場ともなった。

追悼の「ぢゃんな節」を歌い奏でる(左から)金城サチ子さん、太田順子さん、伊良皆功さん=6月23日、糸満市の県平和創造の森公園(提供)

 新潟県から県内に移り住み、金城さんの下で三線を習う古山芳和さん(35)=那覇市=は工工四を見ながら「こてい節」「月桃の花」を奏でた。慰霊の日は「すごく特別な日。亡くなった人たちがいて、今の自分がある」と語った。

 金城さんはかつて八重瀬町内の病院で働き、リハビリやサークル活動などで多くの高齢者とかかわった経験を持つ。生活介助の際、体に大きな傷を負った高齢者もいた。戦争の傷跡のすぐそばで「命が大事。もう戦争を起こしてはだめだ」という話をたびたび聞いてきた。「どれも涙なしでは語れない話。今、三線をやっているとこの方たちの顔が浮かんでくる」

 その思いを子どもたちに伝えようと、音楽会を発案した。「年を取った私は、これから賞を取って上に上がるよりも、子どもたちと一緒に平和の交流をしたい」。68歳になる金城さんはそう決めている。

(石井恭子)