沖縄在来の生態系を脅かす特定外来生物のトカゲ「グリーンアノール」への危機感を共有しようと緊急シンポジウムが6月25日、オンライン形式で開かれた。研究者のほか、環境省沖縄奄美自然環境事務所、県環境部自然保護課など官学60人超が参加した。沖縄、座間味の両島での防除強化、情報共有の場構築などを確認した。
シンポジウムは沖縄生物学会、日本動物学会九州支部、九州沖縄植物学会、日本生態学会九州地区会の4学会が合同で開催した。
冒頭で、グリーンアノールが沖縄より前に侵入・定着した東京・小笠原諸島の事例が報告された。小笠原では、絶滅が危惧される在来の昆虫類が補食されるなどして激減し、生態系に甚大な被害が出ている。定着域をさらに拡大させるグリーンアノールの防除が難航し、在来種の保全に移行せざるを得ない厳しい現状が報告された。
琉球大理学部助教の小林峻さん、京都大大学院生の大塚虎之介さんは捕獲した約200匹の胃の内容物を分析し、希少・固有種の昆虫類が補食される可能性を指摘。県立向陽高サイエンス部は混獲を減らし効果的に捕獲していくわなの設置手法などを探った。県による沖縄島、環境省による座間味島での防除活動の現状も報告され、沖縄自然環境ファンクラブからは行政、環境団体、住民協働での対策の事例も紹介された。
シンポジウムを企画運営した琉球大熱帯生物圏研究センターの戸田守准教授は「官学で共有した危機感を住民に広げていかないといけない。住宅地で繁殖するグリーンアノールを捕獲するだけでも違いは大きい」と指摘した。
グリーンアノールの目撃通報・捕獲情報は県環境部自然保護課(電話)098(866)2243か島嶼(とうしょ)生物研究所(電話)098(914)4778。
(安里周悟)