赤字法人率32位に悪化 20年度、増加幅は全国最大 東商沖縄調べ コロナ禍、人流抑制の影響大


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 東京商工リサーチ沖縄支店は1日、2020年度の全国赤字法人率ランキングを発表した。沖縄は前年度比3.7ポイント増の64.6%で2007年度以降、過去最悪の32位となった。16~19年度にかけて全国最少だったが、大きく悪化した。

 赤字法人率の増加幅は全国で最大となった。観光産業を中心としたサービス業が多い県内企業は、新型コロナウイルス禍による人流抑制の影響を大きく受けたとみられる。

 赤字法人率は、税申告のあった普通法人のうち、赤字法人の割合を示している。20年度の県内の普通法人数は人口増加、コロナ禍前の堅調な県内景気の影響もあり、同5.0%(1298社)増加の2万7173社で、3年連続で全国一の伸びだった。

 赤字法人数は11.5%(1805社)増の1万7548社で、普通法人数、赤字法人数ともに増加幅は過去最高となった。

 19年度末以降、コロナの影響で赤字法人数が増加し、20年度は経済活動の自粛で観光産業を中心としたサービス業の業績が悪化したことから、赤字法人は初めて1000社超の増加となった

 20年4月~21年3月期の企業倒産件数は36件で、普通法人数に対する法人企業倒産発生率は0.1%だった。新型コロナ関連の融資制度や、補助金、助成金の効果などから倒産の発生は低調に推移している。

 東京商工リサーチの担当者は「観光関連の赤字が目立つ。21年度も悪化が想定されるが、法人数が伸びていることからアフターコロナの景気回復は望める」と分析した。 (玉城江梨子)