国語と数学、基礎から「学び直し」 少人数クラスで苦手をフォロー 嘉手納高がコース新設 


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キャリアアップコースの「国語基礎」の授業。国語教諭と学習支援員の2人体制で生徒の学習を支援する=6月16日、嘉手納高校

 嘉手納高校は今年4月から、義務教育段階の学習内容を学び直す「キャリアアップコース」を総合学科内に新設した。入学した15人の生徒は、総合学科の別コース生徒と同じ学級に所属しつつ、学習支援員の配置された少人数クラスで国語と数学を基礎から学ぶ。一人一人の得意分野を把握し、苦手をフォローする体制づくりなど、学校現場は「学び直し」の形を模索している。

 嘉手納高校と石川高校の2校は県教育委員会の研究モデル校の指定を受け、義務教育段階の学習内容の定着を図る教育課程を研究する。嘉手納高校は本年度から、従来の総合学科を「ドリームデザインコース」と「キャリアアップコース」に分けた。

 総合学科定員は200人。キャリアアップコースは、高校の授業についていけるか自信がないなど、学び直しを希望した入試志願者から選考した。志願要件にはこのほか、学び直しに対する生徒本人の意欲や学校生活の様子などを中学校側がまとめた「副申書」の提出などがある。

少人数クラス

 生徒たちが学び直しをするのは、国語と数学。週4時間ずつある「国語基礎」「数学基礎」で、最大6人の少人数クラスに分かれて学習する。コース独自の科目に、ソーシャルスキルトレーニング(SST)がある。社会との関わり方やコミュニケーションを学び、進路決定に役立てることを目指している。

 6月16日の国語基礎の授業では、プリント問題を解く時間が長めに確保された。教科担任と学習支援員が2人体制で生徒4人の机を回り、補足説明や個別に上がる疑問点に答えていた。国語の呉屋利恵子教諭は「単元テストを細かく実施して学習を支援し、一人一人に声を掛け、言葉の意味などを伝えている」と話した。

 数学基礎では小数や分数などの基本を学んでいる。国語基礎と同様、単元テストを実施。担当する石川睦教諭は「これまで苦手としていた内容を理解し、テストで満点を取るなど、生徒たちの自信につながっている」と語った。

 英語は、アルファベットや自己紹介などの基礎を両方のコースで学習する。1年1~5組の各学級には両コースの生徒が在籍。キャリアアップコースの生徒は、学び直し科目やSST以外の授業、学校行事などは所属学級で取り組んでいる。

コース外科目履修

 一方、キャリアアップコースでは、決まった授業時間の枠内で国語や数学の時間数を増やし、SSTの授業を取り入れる分、他科目を履修できない課題もある。今後、生徒たちが大学進学などでコース外科目の履修が必要になることを視野に、屋良淳校長は「必要な科目を学べるようにするなど、本人のキャリア形成に何が必要なのかを見極めることが必要だ」と指摘した。

 将来的に、SSTを選択科目として両コースの希望者が受けられるようにするなど「生徒本人の希望や状態に応じた柔軟な教育課程ができればと考えている」と見据えている。

(吉田早希)