10日投開票の参院選沖縄選挙区は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する「オール沖縄」勢が支援する無所属現職の伊波洋一氏(70)と、元総務官僚で自民新人の古謝玄太氏(38)=公明推薦=の2氏が事実上の一騎打ちで、激しい選挙戦を展開している。選挙戦最終盤を迎える中、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた県経済の再建策や基地問題への対応、有権者に訴えたい政策のほか、選挙戦の手応えなどを聞いた。(’22参院選取材班)
―選挙戦の手応えは。
「良いと思う。街頭では車から手を振り返す人たちが増えた。支持者の関心は自衛隊のミサイル基地配備や辺野古新基地建設反対のウエートが大きい。街頭に立っていると、基地建設と戦争を結び付け『沖縄が攻撃されるのでは』と問いかけてくる支持者もいる。そうならないようにしたいと強く訴えている」
―改めて争点は何か。
「県経済と県民生活の回復、子どもの貧困解消と教育の無償化、それと併せて基地のない平和な沖縄の実現を同列で訴えている。入域観光客数を回復させながら、事業者支援や暫定的に消費税を5%に減税するなどの支援が必要だ」
「子どもの貧困解消のため、親の就業や所得支援を制度化したい。そして辺野古新基地建設や住民合意のない自衛隊ミサイル基地建設を阻止したい。これら3点は有権者に届く声になっている。だからこそ、そのことを言い続けていきたい」
―最も訴えたいことは。
「先の3点もそうだが、復帰50年を迎えた。27年に及ぶ米施政権下で沖縄の人権が無視され、膨大な土地が取り上げられ、米軍基地を造られ、沖縄の自治や経済の発展を抑えられてきた。屋良建議書はそのような状態から日本国憲法の下に帰り、基地のない沖縄にしてほしいと訴えた。ところが今も広大な米軍基地が残る。次の50年に向けて日本復帰で目指していたものを目指す再スタートにしたい」
―最終盤の取り組みは。
「私たちが浸透し切れていない層があると思う。SNSとチラシで同時にアプローチしていく。相手候補よりも具体的に問題を提起し、訴えている。訴えは届くものだと思うし、復帰50年を迎え、これからの50年を目指す時に今の政府方針のまま行けば、戦争への不安が付きまとう。平和で豊かな誇りある沖縄を未来に作っていくという決意だ。だからチラシの中にも『あなたの1票で平和を守る』と書いてある」