沖縄の歴史どう学ぶ? 復帰日の正答率28.4%に懸念 学校や教員ら、頭悩ませ


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南風原高校が「沖縄の歴史」の授業で使用している副読本「高等学校 琉球・沖縄の歴史と文化」

 県教育委員会は6月30日、2022年度県立高校入試の社会科の問題で、沖縄が日本に復帰した年月日を記述式で回答させる設問の正答率が28.4%だったと発表した。有識者は、復帰50年を目前に控えた時期の入試で正答率が低かったことに懸念を強め、改めて沖縄の歴史を体系立てて学ぶ仕組みづくりの必要性を訴えた。沖縄の歴史の継承に危機感を感じている学校や教員らは、沖縄の歴史をどう教えるか、頭を悩ませながら取り組みを前進させている。(嘉数陽)

 沖縄歴史教育研究会顧問で沖縄大客員教授の新城俊昭さんは「現在の学校の制度で、比較的すぐに取り組める体系的な学びの方法」として、小中学校での「総合的な学習の時間」の活用や、高校で独自に教科を設定することを提案する。

 文部科学省は高校学習指導要領の中で、各学校で独自の学校設定教科を設けることができるとしている。県教育委員会によると、県立学校で沖縄の歴史に関する設定教科を設けているのは59校中28校(全日制23校、定時・通信制5校)で、そのほとんどは選択科目として設置している。

 沖縄の歴史に関する設定教科を設けている南風原高校では、1994年に「郷土史」という名称でスタートさせた。琉球の音楽や古武術などを学べる郷土文化コースの新設に連動させたもので、沖縄のことを幅広く学んでほしいという思いから、同コースの1年で必修とした。

 その後名称を変えながら履修対象生徒を拡大し、現在は「沖縄の歴史」という名称で、ほとんどの生徒を対象に、3年間のうちいずれかの学年で1年を通して必修としている。授業を担当する教員は「沖縄を知ることで、将来沖縄に貢献できる人材になれると期待している」と思いを込める。

 授業では、沖縄歴史教育研究会が編集した副読本の「高等学校 琉球・沖縄の歴史と文化」を使って教えている。週2回、先史時代から順を追って沖縄を学ぶことができる。本格的な議論はされていないが、今後は南風原文化センターや地域の史跡などを活用したフィールドワークもできないかと、さらに深い学習ができるよう授業の在り方を模索している。


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