アニメで分かりやすく 沖縄の歴史、小中学生から学ぶ機会を 教員や映像関係者ら意見交換


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沖縄の歴史を学べる視聴覚教材制作の実現性などについて意見交換する、中学校社会科教員らとシネマ沖縄=南風原町南風原中央公民館

 沖縄の歴史を分かりやすく学べる視聴覚教材の制作を目指し、中学社会科教員やシネマ沖縄の末吉真也代表取締役ら有志がこのほど、南風原中央公民館に集まり意見交換した。学校で沖縄の歴史を体系的に学ぶことができない課題や、教員も学ぶ余裕がないことなどを確認し合い、その上でどのような視聴覚教材が求められているか、制作の実現性などを模索した。

 会議の冒頭では、沖縄歴史教育研究会が5月に発表した高校生へのアンケートで、沖縄が日本に復帰した日を問う設問の正答率が22%にとどまったという結果を振り返った。会の発起人である南風原中の運天秀紀教諭は「小中学生の段階から、沖縄を学ぶ機会を十分に持てていない。アニメーションで分かりやすい短編映像を作れないか」と呼び掛けた。

 那覇市立鏡原中で教科指導員を務める山内治教諭は「これまでとてもいい内容の教材がたくさん作られている。それなのに活用されなくなっている現状もある。原因も検証する必要がある」と、教材制作以外の課題も指摘した。

 豊見城市立伊良波中の内山直美教頭は「中学では歴史の勉強が、高校受験のための暗記教科になりがちだ」と悩みを共有し、「興味を持てる映像にしたい。ただ歴史を映像化する際に、史実などの確認が私たちにできるのか」と懸念も示した。

 シネマ沖縄の末吉代表は「誰でもこれを使って授業ができる、という視覚教材にしたい。誰が見ても分かりやすく、なおかつ疑問を引き出すような内容で興味関心を高められれば」と話した。会は今後も定期的に集まり、視聴覚教材の作成や歴史の学び方について議論する予定。


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