米軍が民間地と隣接する訓練場で実弾訓練を実施する中、これまでも流弾事件が繰り返されてきた。県によると、1974年以降の流弾事件は確認できただけでも29件に上る。負傷者が出た例もあり、民家や道路に数十発の機関銃弾が撃ち込まれたこともある。住民の命が脅かされる事件が繰り返されている。
旧金武村伊芸(現金武町)では56年1月にキャンプ・ハンセンからの銃弾が3歳の女児の右太ももを直撃する事件が起きた。87年には金武町屋嘉にある水源地の導水管がライフル銃弾で撃ち抜かれ、取水を一時停止した。翌年の88年にも金武町の伊芸サービスエリアや集落で銃弾10発が見つかった。2008年には金武町伊芸の民家駐車場にあった車のナンバープレートに流弾が当たる事件もあった。
名護市のキャンプ・シュワブ周辺でも事件が繰り返されている。1978年12月には名護市許田の民家や道路に数十発の機関銃弾が撃ち込まれた。2002年7月には名護市数久田で男性の間近に銃弾が着弾した。18年6月にも数久田で果樹畑の農作業小屋に流弾が着弾した。
いずれも住民の安全を脅かす重大な事件だが、米軍は県の捜査協力に消極的だ。被疑者不詳のまま捜査が終了するなど、日米地位協定が壁となって解明に至らない状況が繰り返されている。
(金盛文香)