伊波氏の勝利で「オール沖縄」は求心力回復へ 自公は態勢再構築が急務 県内政局への影響<参院選沖縄選挙区>


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伊波洋一氏(左)の当選が確実となり、笑顔で握手を交わす玉城デニー知事(同右)=11日午前0時半、那覇市古島(小川昌宏撮影)

 10日に投開票された参院選沖縄選挙区で現職の伊波洋一氏が再選を果たしたことで、全面支援した「オール沖縄」勢力は、政権与党の自民・公明勢力に現職の1議席を奪われた昨年10月の衆院選のほか、これまで全敗している今年の4市長選から続く「悪い流れ」(オール沖縄関係者)を断ち切った。同じ枠組みによる支援を受けて9月の県知事選に出馬する玉城デニー知事の再選に向け、大きな弾みを付けた格好だ。

 参院選は各地域課題が主要争点となる首長選とは異なる全県選挙。名護市辺野古の新基地建設阻止を掲げてオール沖縄を築いた故翁長雄志氏が2014年の知事選で勝利して以降、県内全域が一つの選挙区となる知事選や参院選で全勝してきただけに、今回の参院選で敗北していれば、オール沖縄の瓦解(がかい)にも直結していた。

 対立候補の古謝玄太氏の知名度不足に助けられた形とはいえ、保守・経済界の離脱で弱体化が指摘される中での勝利で、オール沖縄は県内政界での求心力を回復させそうだ。

 昨年の衆院選以降、連勝を重ねてきた自公勢力にとっては、県政奪還に向けた勢いに水を差す手痛い敗北となった。この間、自公は連携態勢をさらに強化し、各種選挙で集票能力を発揮した。今回も同様の形で臨んだだけに、知事選に向けた態勢再構築が急務となる。

 古謝氏が辺野古容認の姿勢を明確にして敗れただけに、知事選に自民が擁立する佐喜真淳氏が辺野古へのスタンスをどう打ち出すかも焦点となる。 
(大嶺雅俊)