係争委、県申し出却下 辺野古・国交相裁決 「国関与当たらず」 国地方係争委 却下理由の骨子


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名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部

 米軍普天間飛行場移設に伴う沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」は12日の会合で、県の審査申し出を却下すると決めた。県は、沖縄防衛局による設計変更申請を不承認とした処分を斉藤鉄夫国土交通相が取り消した裁決について「無効で、違法な国の関与に該当する」と訴えていたが、係争委は審査対象となる「国の関与」に該当しないと判断した。係争委は裁決が違法か判断しておらず「門前払い」した格好となった。

 係争委の判断を不服とする県は、期限となる8月中旬までに訴訟への提起の検討に入る。係争委の判断を受けて玉城デニー知事は12日、会見し「同委員会に公正中立に判断するよう求めてきたが、このような結果となったことは非常に残念だ」とコメントした。

 係争委の菊池洋一委員長が同日午後、総務省で会見し、明らかにした。係争委は決定内容について県側に伝えたとし、早ければ同日中にも文書で通知を送付するとしている。

 県側は、国の機関である防衛局は「私人」とは異なるため、行政不服審査法、地方自治法に基づく審査請求はできないと主張。国交相が基地建設を推進する内閣の一員で公正・中立な判断を行うという前提がないことなども理由に「違法な国の関与」としていた。

 菊池氏によると、係争委は防衛局が「私人」として実施した審査請求を適法と判断し、県の処分を取り消した斉藤国交相の裁決についても「適格性」があるとし、県の申し出を「不適法なもの」として全会一致で却下したという。(安里洋輔、塚崎昇平)

<国地方係争委 却下理由の骨子>

 ●国地方係争委の審査対象となる地方自治法上の「国の関与」が認められない
 ●沖縄防衛局が「私人」として出した国土交通相への審査請求は適法で、国交相の裁決も適法だ
 ●国交相には審査庁としての適格性がある
 ●国交相の裁決は、行政不服審査法、地方自治法に基づく適法なもので、県の申し出は不適法だ