16日からの3連休を皮切りに夏の本格的な観光シーズンが始まる。観光業界では新型コロナウイルス禍からの回復に期待が集まる一方、県内では昨年末からレンタカー不足が続いている。4~5月のゴールデンウイークにはレンタカーの予約ができなかったため沖縄旅行を取りやめた例もあり、対策が急務となっている。
県内のリゾートホテルや旅行社は那覇空港とホテル、周辺観光地などをつなぐシャトルバスを運行し、需要を取りこぼさないように力を注ぐ。人工知能(AI)を活用した相乗りタクシーが那覇空港路線の送迎エリアを拡大するなど、新たな移動サービスを模索する動きもある。
コロナ禍での需要減少とそれに伴う経営効率化の必要に迫られたことから、レンタカー各社は2020年以降車を減らした。県レンタカー協会によるとコロナ前の19年8月は協会加盟の39社合計で2万7600台のレンタカーが稼働していたが、今年6月末現在で稼働しているのは1万6500台にとどまる。
半導体不足で新車の確保が難しい状況が続き、財務悪化で新たな投資ができないこともあって各社とも増車には慎重な姿勢で、レンタカーの台数はすぐに増えない。同協会の白石武博会長は「レンタカー不足は早くても年末まで、長ければ来年のゴールデンウイークまで続く」と見通す。
レンタカー不足に対応するため、多くのリゾートホテルは、今月から空港直行バスの運行を開始する。ルネッサンスリゾートオキナワ(恩納村)とココガーデンリゾートオキナワ(うるま市)は1日、中部観光バスと連携し、那覇空港とホテルを結ぶ直行バスの運行を始めた。1日6便で、全便に乗車客がいるほか問い合わせも多く、需要を実感している。
シェアリングエコノミーの分野でも対策が始まっている。独自のAIを活用し、那覇空港と市内を結ぶ相乗りタクシーをマッチングする「ニアミーエアポート」は1日、送迎エリアを宜野湾市、北谷町、西原町に拡大した。
レンタカーが足りないため、ホテルから観光地への移動手段の確保も課題だ。
JTB沖縄と北部観光バスはJTB協定旅館ホテル連盟沖縄支部連合会の協力を得て、本島北部の主要観光地とホテルをつなぐ無料シャトルバスを16日から実証運行する。ゴールデンウイーク中にも同様のルートで運行し、延べ1600人が利用した。利用者アンケートでは3割が「レンタカーが予約できなかった」と答えているが、バス旅を楽しみたい、長距離運転に抵抗があるといった声も一定数あった。
コロナ前はオーバーツーリズムも指摘された沖縄観光。JTB沖縄の担当者は「レンタカー以外の交通手段の整備は課題。ニーズを整理し事業化できるか見極めたい」と話した。 (玉城江梨子)