【深掘り】過去には恩納村側射撃場から流弾の例も 米軍は安全対策強調、住民側に残る疑念 金武町伊芸区の「銃弾」発生から1週間


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 米軍キャンプ・ハンセンに隣接する金武町伊芸区の民家から銃弾のような物が見つかって14日で1週間となった。流弾の可能性を否定する在沖米海兵隊は、銃弾が見つかった7日頃に伊芸区付近の射撃場を使用していないと主張する。他方、伊芸区には数キロ離れた恩納村側の射撃場から流弾が着弾した事例もある。住民は「恩納村側からも銃口が向いている恐怖心がある」と訴える。

 県や伊芸区などの資料によると、キャンプ・ハンセン内には恩納岳などを取り囲むように射撃場が設置されている。山に向かって射撃するため、恩納村側からの射撃は、金武町側に向く。

 2008年10月に伊芸区内の駐車中の車に銃弾が刺さっている状態で見つかった事件で、県警は現場から約4キロ離れた「レンジ7」から発射された銃弾と事実上特定した。今回、米軍側が射撃を否定したのは「レンジ5」など、伊芸区周辺の射撃場のみだ。池原政文元伊芸区長は今回見つかった銃弾のような物について、「(恩納村側の)レンジ7かレンジ9から発射されたものでは」と指摘した。

 銃弾のような物の発見直後から米軍や日本政府は安全対策を強調しているが、実効性にはほど遠い。沖縄防衛局は8日の報道発表で米側からの説明として「施設区域外に着弾しないような安全対策を実施している」と強調した。機関銃の銃身を器具で固定している様子も写真で公開した。

 こうした説明に対して地元からは「撃つ方向が外れないように固定するのはほふく射撃だけだ。軍用車両からの射撃訓練もある」(安富祖稔区長)と疑念も上がる。県平和委員会の大久保康裕事務局長も「銃身を固定したとしても(着弾して別方向に飛ぶ)跳弾の可能性はなくならない」と指摘する。

 恩納村側からの着弾の可能性について、在沖米海兵隊は本紙取材に「報道発表以上の情報は県警に問い合わせてほしい」と回答を拒否した。
 (増田健太、塚崎昇平)