県内企業、原料高対策49% 「価格転嫁必要」77% 沖縄公庫調査


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 沖縄振興開発金融公庫(川上好久理事長)は15日、原油・原材料価格上昇に対する県内企業の価格転嫁実施状況調査の結果を発表した。価格上昇に対し、回答した企業の49・2%が取り組みを実施し、そのうち「価格に転嫁」「ある程度転嫁」している企業が79・5%を占めた。今後の転嫁実施についても回答企業の77・8%は必要性を認識している。一方、同業他社との競争などで転嫁が進まず業況が苦しい企業も出ている。

 取り組みの実施について業種別で見ると、製造業が72・7%と最も大きく、小売業66・7%、卸売業60・0%と続いた。実施した企業の中で、「ある程度」も含め小売業は100%が価格に転嫁しており、卸売業が87・5%、製造業が85・0%と高い水準となっている。転嫁の実施時期は2022年4~6月期が59・2%と過半数を占めた。

 全産業の価格転嫁実施に関する今後の予定は、「予定している(再度実施も含む)」が35・8%となり、「転嫁したいが困難」が21・2%、「当面はコスト削減など企業努力で対応」が20・8%と続いた。予定時期は今年7月が29・1%と最も大きく、多くの業種で差し迫った状況であることがうかがえる。

 高騰のあおりを受けている業種の中でも、建設業や運輸業の取り組み実施がそれぞれ37・3%、38・7%と低水準だった。今後の価格転嫁の実施についても運輸業は41・9%、建設業は25・4%が困難視しており、同業他社との価格競争などを背景にジレンマに陥っている。

 公庫は「全国では価格転嫁が進んでいると報道されているが、県内では対応に苦慮している」と指摘し、こうした状況が続くことによる資金繰りや経営の悪化を懸念した。

 調査期間は5月下旬~6月下旬で、県内企業307社から回答を得た。公庫は2月からウクライナ情勢や原油価格上昇などに関する特別相談窓口を設置しており、中小企業や小規模事業者を支援している。 (小波津智也)