「米軍基地がなければもっと発展したはず」軍用地の補償修正、地主の請求を棄却 那覇地裁「仮定の評価できない」


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那覇地方裁判所(資料写真)

 米軍に強制接収されなければ、もっと発展していたはず―。

 長期にわたって継続使用される米軍基地は、都市開発に悪影響を及ぼし地価の上昇を抑制しているとして、米軍嘉手納基地内に土地を所有する読谷村の男性らが、適正な補償を国に求めた訴訟の判決が12日、那覇地裁で言い渡された。原告側は「基地がなければ」と想定して補償金を出すべきだと主張したが、福渡裕貴裁判長は「仮定の上での評価はできない」などとして請求を棄却した。

 軍用地の補償金額は、国側が土地使用の認定を告示した際に、隣接地の地代などを考慮した「相当な価格」に、物価の変動による修正率を乗じた額と定められている。

 原告側は、所有する土地はかつて読谷村の中心地として栄えていたが、太平洋戦争後に米軍に強制接収され、発展が阻害されたと強調。接収されなければ、周辺地域と同様の発展をしたと推認でき、沖縄防衛局の鑑定に基づいた補償額は低過ぎるとした。

 福渡裁判長は判決理由で、軍用地使用によって生じた不利益に関する金額を、客観的に算定する証拠があるとは認められないと判示。「土地の形状や位置が異なるため、基地がなければどのような発展を遂げたかを合理的に推認することは不可能だ」などとした。沖縄防衛局の鑑定は適正と認め、原告の訴えを退けた。

 原告側は控訴する方針。代理人の日高洋一郎弁護士は、米軍から返還された土地が目覚ましい発展を遂げていると指摘。「自由競争下でやれば発展は目に見えている。軍用地は使用が制限されているのだから、発展した土地の価格を基に算定すべきだ」と述べた。