救急搬送困難が那覇で3倍増…コロナ拡大で病院が受け入れ困難に「軽症時の救急受診控えて」


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サイレンを鳴らし急行する救急車=21日、那覇市内

 沖縄県那覇市消防局が手掛けた救急で、医療機関への受け入れまでに時間がかかる「救急搬送困難事案」が、6月20日~7月17日の4週間で15件あった。5月23日~6月19日は5件で、3倍に増えている。市消防局によると、出動件数の増加や新型コロナ感染急拡大で各病院が逼迫(ひっぱく)し、受け入れが困難になっていることが背景にある。

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 救急搬送困難事案は病院などへの照会が4回以上かつ現場滞在時間が30分以上のケース。出動件数自体も増加し、6月は1971件(うちコロナ関連208件)だったが、7月は11日時点で790件(同102件)となっている。 市外の病院への搬送も増え、八重瀬町の南部徳洲会病院への搬送件数は4月79件、5月92件だったが、6月は149件、7月は20日時点で104件となっている。

 現場から近いなどの理由で市外に搬送することもあるが、市内の病院が受け入れ困難であることも市外への搬送増加の一因となっているという。

 消防局救急課の城田覚(さとる)主幹は「救急現場は逼迫しつつある。搬送先がなかなか決まらないと患者や隊員の負担になる」と話す。発熱のみで救急車を利用した事例もあり、「軽症時の救急受診は控え、昼間にかかりつけ医を受診してほしい。今は熱中症も多いので熱中症対策もしてほしい」と話した。 (伊佐尚記)


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