実弾が発射可能なのに事前確認せず…海保が原因公表 宮古島巡視船の誤射、船長らが規則の手順守らず


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機関砲を誤射した巡視船しもじ=第11管区海上保安本部提供

 宮古島市の伊良部島で、港に停泊中の宮古島海上保安部所属「巡視船しもじ」の20ミリ機関砲誤射事案から26日で1週間となった。第11管区海上保安本部は同日、那覇市の那覇港湾合同庁舎で誤射の経緯や原因、再発防止策を報道陣に説明した。発生当日、機関砲の取り扱い訓練で、船長や職員は規則手順を守らず、実弾が発射可能な状況にもかかわらず、事前確認をしなかったことなどが主な原因と発表した。海上保安庁は22日までに、全管区海上保安部に再発防止の徹底や緊急点検を指示した。実弾はまだ見つかっていない。

 11管によると、機関砲の取り扱いマニュアルなどには「訓練実施の際、異物混入や実弾の装弾有無の確認は必須」などと明記されている。船長は砲本体と実弾は連結されていない状態と誤認していた。給弾作業に当たった職員は実弾が発射可能な状態であることを報告していなかった。マニュアルの不順守、職員間の意思疎通不足、機関砲の構造上の理解不足が、誤射の主な要因という。

 再発防止策として、機関砲を使う訓練は、事前に実弾の有無や命令内容の確認、ブリーフィングなどを徹底する。さらに、今後は訓練時に砲身を陸地側に向けないことなどをマニュアルに反映する。機関砲搭載の巡視船について、訓練に関わる緊急点検、構造・操作に関わる研修を実施するなどし、再発を防止する。11管は今後、銃砲刀剣類取締法違反容疑などを念頭に調査を進める。

 また、宮古島海上保安部の福本拓也部長は同日、宮古島市の座喜味一幸市長を訪ね、誤射原因を説明し、陳謝した。

 同事案は19日、巡視船しもじの職員らが、実弾が連結された模擬弾を機関砲に給弾した。その後、機関砲を使う訓練を実施。船長の判断で機関砲の稼働状況を確認し、発射ボタンを複数回押した際、実弾8発が発射した。