【識者談話】リモート学習、住宅事情も影響 三村和則・沖国大教授


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三村 和則教授

 2022年度全国学力・学習状況調査で県内中学の数学は9.4ポイント、理科は5.3ポイント、それぞれ全国を下回り、生徒は授業以外の学習時間が短い傾向が出るなど中学校における学習の課題が浮き彫りになった。県内児童生徒は、新型コロナウイルスの影響で学校に通えなかった日数が、全国と比べ長かったことも明らかになった。

 新型コロナウイルス感染拡大で、昨年6月は県独自の措置で学校の一斉休校があった。現場からは、通常授業が行われた県と比べ授業日数が少なく、今年3月は教科書を終えることで必死だったとの声も聞こえた。長引くコロナの影響が、結果に表れている。

 社会や国語などの科目は、日常生活の読書やメディア、大人との会話を通し、ある程度身に付く部分はある。一方、公式を使う数学や法則を習う理科などは、生活の中で身に付けることは難しい。理科や数学における平均正答率の低迷は、学校教育の大切さを示した結果とも考えられる。

 リモートでの学習がうまく機能するかは、県内の住宅事情も関係する。(1)個室または静穏な空間(2)パソコンを使う場合は大容量の通信回線(3)大型画面―など、複数の条件がそろわなければ学習はしづらい。

 中学生への学習状況調査は、平日1日当たりの授業時間以外の勉強時間を問う質問で、県内は「30分より少ない」「全くしない」が23%と、全国の13.4%を大きく上回ったことも明らかになった。例年上位の秋田県は4.1%で、「1時間以上、2時間より少ない」が5割超など、学校の授業以外でも学習する習慣が身に付いている。テストの内容は、難問奇問ではないため、児童生徒には理解してほしい内容だ。だからといって、結果のみに夢中になり過度な対策を取るのは問題になる。

 日頃の授業で学力の定着を図りつつ、将来の進学や職業人生を見据えた長期的な視点での取り組みが重要だと考える。
 (教育方法学)