【記者解説】コロナが学習環境に影響、保護者や教師への支援が急務 全国学力テスト


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 2022年度全国学力・学習状況調査で県内中学の数学は9.4ポイント、理科は5.3ポイント、それぞれ全国を下回り、生徒は授業以外の学習時間が短い傾向が出るなど中学校における学習の課題が浮き彫りになった。県内児童生徒は、新型コロナウイルスの影響で学校に通えなかった日数が、全国と比べ長かったことも明らかになった。

 全国学力・学習状況調査(学力テスト)で、沖縄は以前、6年連続の全国最下位で、県を挙げた学力向上の取り組みが進められた。2014年には小学校が最下位を脱出し努力の成果を評価する声が上がったが、他方で過熱しすぎる学力向上対策に、子どもと教師の疲弊が指摘された経緯がある。

 今回、中3は数学と理科で全国平均に比べて差があり、小中で再び全国最下位となった。新型コロナの感染拡大を受けて、県内の小中学校は、休校など授業を制約される時期があった。学習環境への影響が指摘されている。

 新型コロナのあおりで、世帯がより困窮している可能性もある。沖縄は他県に比べて就学援助の利用率が高く、経済的に厳しい家庭が多い環境下では家庭学習の質向上を求めることは厳しい。

 学力の改善が求められるが、学力定着・向上に必要なのは、これまでの学力調査を元に実行された施策の検証と、現在の沖縄の子どもと保護者、教員を取り巻く環境に基づいた施策だ。

 一方、「学校が好き」と答えた子どもは80%超で、意欲は高い。行政は子どもたちが安心して興味関心、学力を伸ばせるよう、家庭や教師の支援こそ急ぐべきだ。
 (嘉数陽)