文化庁は29日までに地域の有形、無形文化財を観光や地域振興につなげる「日本遺産」に、組踊創始者・玉城朝薫の経歴と一族の家系を記録した史料「向姓(しょうせい)家譜(邊土名家)」を追加した。新たな認定ではなく、2019年に認定された「琉球王国時代から連綿と続く沖縄の伝統的な『琉球料理』と『泡盛』、そして『芸能』」の構成文化財に加えた。
向姓家譜について文化庁は「琉球芸能上、第一級の史料であり琉球・沖縄の文化史上も貴重」「構成文化財『玉城朝薫の墓(邊土名家の墓)』に眠る人々の家族史を解明する上でも必要不可欠」と評価した。「琉球料理、泡盛、芸能」が日本遺産に認定後の19年11月に邊土名家関係者から浦添市に寄贈されたため、今回追加された。
家譜には尚真王の第3子今帰仁王子朝典5世の孫・6世朝智から約300年、28人の男系一族が記録されている。朝薫は10世にあたり、1719年に組踊を演じたことなどが書かれている。
文化庁が今回発表した評価はこれまで認定された日本遺産の内容の一部変更など。「琉球料理、泡盛、芸能」は「向姓家譜」の追加だけでなく、「首里城書院・鎖之間(さすのま)庭園」の位置づけ変更(「現在は琉球菓子の体験学習が行われています」を削除)もあった。首里城火災により体験学習が実施できないため。
(宮城隆尋)
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