【宮古島】宮古島海上保安部所属の巡視船しもじが機関砲から実弾を誤射した問題で、同巡視船で訓練手順のマニュアル違反が常態化していた。29日、同部が「今回も含めて3回、マニュアルを守らず訓練前日に実弾を給弾していた」と発表した。同部の福本拓也部長は手順違反の常態化について「そのそしりを免れない」とした。
宮古島海上保安部によると、巡視船しもじの現船長の乗船期間(3年目)中に実施した洋上射撃訓練で今回を含めて3回、乗組員が「訓練当日の作業を軽減するため」との理由で前日に実弾を給弾していた。洋上射撃訓練の実施総数について「詳細は答えられないが少なくとも年に1回以上実施している」とした。
同部ではしもじを含め同型巡視船が9隻所属しているが、しもじ以外での訓練前日の実弾の給弾は「なかった」とした。また、しもじでの過去2回の前日の給弾が今回の乗組員と同じ人物かについては「確認できていない」とした。
同部によると、巡視船しもじのマニュアルでは実弾について「必要な時以外に弾薬庫から弾薬を出さない」と定めており、本来は訓練当日に給弾するべきものだった。
同部は改めて誤射原因として「マニュアル不順守と意思疎通の不足、機関砲の構造の理解不足があった」と説明した。
その上で、海上保安庁が26日に発表した再発防止策(1)実弾有無や命令内容確認とブリーフィングの徹底(2)砲身を陸地側に向けないことなどをマニュアルに反映(3)訓練に関わる緊急点検、構造・操作に関わる研修の実施―に加えて独自策として、弾薬庫に実弾を格納することを含めて「所属巡視船の着岸中の実弾給弾を全面的に禁止する」とした。
また現在、同部所属の巡視船9隻がそれぞれ訓練手順マニュアルを定めている状態にあることを説明し「乗組員の異動で混乱をきたす」として各マニュアルを統一化するとした。 (佐野真慈)