旧日本軍機の特攻を受け古宇利島沖の海底に沈む米軍掃海艦「エモンズ」の砲身に、日本のダイビング客らが座ってポーズを取る写真がインターネット上に公開され、同艦の元乗組員らでつくる米団体メンバーが、客を案内した那覇市のダイビング店に「戦死者への冒涜(ぼうとく)だ」と抗議していたことが30日、関係者への取材で分かった。店側は謝罪し、公開した写真を削除。再発防止を約束したという。
同艦の発見当初から調査や慰霊に携わる県内のダイビングインストラクターの男性は、「日米の犠牲者が眠る船。単なる観光スポットでないと知ってほしい」と訴える。
写真は6月下旬、店がSNS(交流サイト)上で公開。若い女性客ら3人が砲身に並んで座り、腕を広げるなどポーズを取っていた。
抗議したのは、米団体「エモンズ・アソシエーション」メンバーで沖縄県在住の男性。同月27日付で「戦死した乗組員やパイロットへの大変な冒涜。国のために犠牲となった人に敬意を払うべきだ」とし、日米双方の戦死者を追悼することの大切さについて客に指導するよう求めた。
団体のトム・ホフマン理事は共同通信の取材に「悲しいことだ。この船に潜る人は敬意を持ってほしい」とコメントした。店の代表は「ダイビングスポットの魅力が伝わると思って公開した。抗議が来ると思わなかった」と話した。その後は船を傷つけないよう指導しているという。
(共同通信)