「霊感商法」によって多くの被害者を出し、反社会的とも指摘される宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」と県選出・関係国会議員との関係について問うアンケートで、自民党に所属する議員5人のうち3人が関係を認めた。明確な回答を避けた議員もおり、旧統一教会の浸透ぶりがうかがえる。一方、自民党議員の全てが「信教の自由」などを理由に、旧統一教会とその関連団体が行ってきた政治活動への評価を回避。アンケートは、政治と宗教との微妙な距離感も映し出した。
旧統一教会を巡っては、安倍晋三元首相の銃撃事件で逮捕された容疑者が、安倍氏と同教団との関係を犯行の動機に挙げ、容疑者の母親も行ったとされる巨額献金の実態などに注目が集まった。事件を受け、7月11日には同教団の代表が東京都内のホテルで会見し、翌12日には、同教団に関するトラブルに対応してきた「全国霊感商法対策弁護士連絡会」が都内で開いた会見で被害の実態を訴えていた。
事件は政界にも波及し、安倍氏の実弟である岸信夫防衛相ら現役閣僚をはじめ、多くの自民党議員と同教団との関わりが明らかになった。
本紙が実施したアンケートで、旧統一教会とその関連団体の政治活動への評価を質問すると、与野党で姿勢の違いが鮮明になった。
安倍氏の銃撃事件が契機となり、信者からの巨額献金の実態など「負の側面」に注目が集まった教団について、野党側はいずれも「不適当」と回答した。
教団の在り方を「反社会的」(赤嶺政賢氏、新垣邦男氏)などと断じ、「自民党政治に大きな影響を与えてきた可能性が極めて高い」(伊波洋一氏)と「政教分離の原則」を指摘した。
一方の与党側は歯切れの悪い回答が目立った。
公明党の金城泰邦氏は「政治家の側が社会的な問題やトラブルを抱える団体と接触を持つというのは控えるべき」と踏み込んだが、妥当性については、与党系議員の全員が言及を避けた。
自民党の国場幸之助、宮崎政久両氏は「法の順守」を担保した上での憲法20条に定められた「信教の自由」と「政教分離の原則」の尊重を強調。西銘恒三郎、島尻安伊子両氏は「個別の団体または個人の評価は差し控える」と述べるにとどめている。こうした対応には、党本部の姿勢も影響していそうだ。
茂木敏充幹事長は7月26日の会見で「組織的な関係がない」などとして党内調査に否定的な構えを示した。自民党議員は、党本部の出方をにらみつつ、今後の情勢を見極めている段階だと言えそうだ。
(安里洋輔)