県民にとって台風は南の海上で発生し、発達しながら近づくという印象が強いが、台風6号は7月31日に沖縄近海で発生した。突如生まれた台風について、専門家は「低圧部」の影響を指摘する。
低圧部とは、はっきりとした低気圧ではないものの、大気の中で周囲より気圧がやや低い部分を指す。
琉球大の伊藤耕介准教授(気象学)は「この時期は沖縄の近くに低圧部がある。低圧部の周辺から台風が発生するパターンと、低圧部そのものが台風に発達するパターンがある」と解説。前者が7月28日に発生した台風5号で、後者が台風6号だと指摘した。
気象庁が公開する28日の天気図を見ると、台湾の東からフィリピンにかかる低圧部があった。
同日午後9時に低圧部の東側周辺に位置するマリアナ諸島付近で台風5号が発生した。この低圧部自体が29日午前9時に熱帯低気圧に発達し北上。沖縄気象台は熱帯低気圧のまま沖縄地方を通過すると見込んでいたが、想定より風が強くなり31日正午に台風6号の発生を判断した。
低圧部が関係する台風は風の強さはないものの、雨は警戒が必要だ。実際、粟国村で1日午前9時までの24時間降水量が131ミリを記録するなど、本島の広範囲に大雨をもたらした。
沖縄近海で突如出現する台風について、沖縄気象台は「珍しいことではないので注意が必要だ」と、警鐘を鳴らした。 (稲福政俊)